石垣市の尖閣諸島周辺海域で中国海警局船が領海侵入や日本漁船への接近を繰り返している問題を巡り、2日の県議会では、石垣市区選出の大浜一郎県議が「知事は米軍の低空飛行訓練に対し『わじわじー(沖縄方言で怒り)していると言った。尖閣での中国の暴挙に、わじわじーする気持ちはないのか」と玉城デニー知事に中国への抗議を求める場面があった。
金城賢知事公室長が答弁に立ち「中国政府の行動は、既存の国際秩序とは相容れない独自の主張に基づく一方的な現状変更の試み。許されるものではない」と中国を批判した。
玉城知事は日中関係改善を要望したが、中国への抗議はせず、大浜氏は「わじわじーもせんのですね」と苛立ちを見せた。
中国海警局船の活動は国際法違反ではないかとの問いに玉城知事は、日本政府が国際法違反との認識を示していることを挙げ「沖縄県も意を同じくするものだ」と答弁。
尖閣周辺に出漁する漁業者の不安をどう思うかとの質問には「平穏な海域で通常の漁を続けたいという漁師の気持ちは十分理解する」と述べた。大浜氏は納得せず「本当に冷たい。(漁業者に)もう少し寄り添ってほしい」と不満をあらわにした。
その上で「国際情勢に対する知事の認識は極めて甘い。中国は身勝手で乱暴な海警法をぶつけてきている。中国には知事の期待に沿う意思などみじんもない」と指摘。「知事は(米軍基地問題で)直接米国に行くと言っているが、北京にも行って、中国政府に厳重抗議することも視野に入れてはどうか」と迫った。
金城公室長は「冷静かつ平和的な外交で問題解決に取り組むことが重要だ」と応じた。
石垣市が建設を目指している尖閣資料館については「県としても、どういった取り組みができるか検討したい」と述べるにとどめた。
尖閣諸島に武装集団が不法上陸した場合の対応について県警本部の日下真一本部長は「過去の不法上陸事案でも検挙措置を取っている。同様のことを考えている」と明らかにした。
昨年4月発足した国境離島警備隊については「平素から海保の巡視船に隊員を乗せ、警戒警備を行っている」と強調した。