宮崎さん「安心して操業したい」 尖閣に鹿児島から出漁 中国船妨害で今年は断念

那覇市の泊漁港に寄港中、取材に応じた宮崎さん=2月9日

 石垣市の尖閣諸島に、鹿児島県から出漁する漁師がいる。同県喜入町漁協所属の「第八みつ丸」船長、宮崎卓己さん(60)だ。20代のころから尖閣周辺海域に通い続け、もう40年近くになる。だが尖閣海域では中国海警局の船による操業妨害が相次いでおり、今年の出漁は断念せざるを得なかった。
 宮崎さんは父親の跡を継いで21歳で初乗船。23歳で同船を父親から譲り受けた。水産高校卒業後、18歳で船乗りになり、他船で修行した。毎年冬場は水温が高い沖縄周辺まで出漁し、尖閣海域に足を延ばしてきた。
 2014年ごろは「尖閣諸島周辺の領海内では大漁だった」と振り返る。当時も海警局船は尖閣周辺で航行していたが、まだ妨害されず漁ができたという。
 尖閣諸島ではアホウドリが生息しており、釣り上げた魚を狙って集まってくる様子も目撃した。人間を恐がる様子はなく、宮崎さんは「隙を見て、釣った魚を取られたこともある」と明かした。
 最近になり、中国海警局の船が漁船に接近し「漁が妨害されるようになった。本当に厄介だ」と顔をしかめる。海上保安庁から「海警局船が接近している」という連絡が来ると漁を止め、見つからないように別の海域へ移動するが、時間を置いて元の漁場に戻ると、魚群の反応が消えていることもしばしば。「半日がパーになる」と憤る。
 宮崎さんが尖閣海域に向かうと、常にタイミング良く海警局船が出現するため「人工衛星で周辺を監視しているのではないか」と疑う。
 今年は2月から海警局船の武器使用を認める海警法も施行された。宮崎さんは先島諸島周辺まで出漁したものの、海警局船の妨害を警戒し、尖閣海域に行くのは見送った。政府には「安心して操業できるようにしてほしい。冬場に2、3回は尖閣で操業したい」と願う。
 中国の王毅外相は昨年来日にした際、尖閣周辺に出漁する漁船を「偽装漁船」と主張し、周辺海域から排除することを日本政府に提案。日本政府は拒否した。
 海警局船は現在、尖閣周辺で発見した日本漁船を即時追尾し、周辺海域から排除する方針を取っていると見られる。

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