石垣市議会(平良秀之議長)は15日の3月定例会最終本会議で、県が県立八重山病院隣接地に整備した暫定ヘリポートの恒久化に反対する意見書案を可決する見通しだ。県議会で石垣市区選出の次呂久成崇県議の一般質問に対し、謝花喜一郎副知事が恒久化に前向きな発言をしたためだ。市は、暫定ヘリポートが恒久化されれば、周辺の土地利用に支障が出ると危機感を募らせている。
3日の県議会一般質問では次呂久氏が「今の場所(暫定ヘリポート)を恒久ヘリポートとしてそのまま継続できないか」と述べ、関係自治体と話し合うよう要望。謝花副知事は「この場所が恒久ヘリポートとして対応できるなら、これに越したことはない」と歓迎した。
だが市側は、次呂久氏が県議会で暫定ヘリポートの恒久化を提案したことについて「事前に何も聞いていない」(中山義隆市長)などと困惑している。
12日の市議会運営委員会で宮良直好都市建設課長は、恒久ヘリポートを巡る県との協議で、県側から複数案の一つとして、暫定ヘリポートの恒久化を提案されたことを認めた。その上で「(土地利用への)影響が大きいと明確に伝えた」と拒否したことを明らかにした。
宮良課長によると、暫定ヘリポートを含む旧空港跡地は市が2023年度末から土地区画整理事業を導入するが、暫定ヘリポートが恒久化されれば周辺5㌶以上の土地に高さ制限がかかる可能性がある。
通常の土地利用を可能にするには、高架デッキ整備などでヘリポート用地を20㍍以上かさ上げする必要があるという。県との協議で市は「八重山病院敷地内でのヘリポート整備が望ましい」との考えを示した。
市議会与党が提出した意見書案では、暫定ヘリポートの恒久化に対し「明確に反対」と指摘。市当局と歩調を合わせ、八重山病院敷地内で高架デッキ整備などを早急に進めることを求めた。
広域行政や広域医療を担う県の立場として、3市町の患者輸送体制に遺漏がないようヘリポートを整備、運用することも改めて要望した。意見書案は我喜屋隆次氏が提案した。
議会運営委員会では野党が「医療関係者の話を聞いてはどうか」などと意見書案に難色を示したが、与党の賛成多数で最終本会議への上程が決まった。