石垣市で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、感染者が再び増加傾向に転じる中、21日に市主催の成人式を迎えることになり、県や市は神経を尖らせている。参加者にはPCR検査が義務付けられるため「式を開催することで感染が拡大することはない」(中山義隆市長)と見られるが、式典後に参加者が集団飲食すれば、感染リスクが一気に高まる。県、市は新成人に行動の自制を呼び掛けており、祝福と厳戒ムードがないまぜになった異例の状況で、開催当日を迎えることになりそうだ。
「沖縄本島では成人式に参加した人だけで100人以上が陽性になった」
17日、石垣市の成人式について問われた県保健医療の糸数公統括監は、言葉に警戒感をにじませた。「集まって飲むなと言っても、なかなか守ってもらえないことが本島の成人式で分かった」からだ。
県、市は式典後の飲食は少人数で、できるだけ早めに切り上げるよう求める。式典後に会場を出て、検査を受けていない人と抱き合って喜んだりする可能性も懸念し、行動に配慮するよう呼び掛けている。
市教育委員会によると新成人は543人で、うち330~350人が式典に参加する見通しだという。
PCR検査を受検した新成人からは19日現在、3人の陽性者が出た。
うち1人は石垣市在住で、美崎町のガールズバーで発生したクラスター関連の感染者。別の1人も石垣市在住で、感染経路は分かっていない。このほか、式典に参加するため那覇市から帰省した新成人の感染が初めて判明した。
首都圏では21日まで緊急事態宣言が発令中。沖縄本島も県独自の宣言が解除されたとはいえ、感染者数は下げ止まりから増加傾向に転じている。こうした地域から帰省する新成人も多い。
しかも石垣市は、クラスター発生直後のタイミング。県、市は、成人式が感染拡大の引き金になることは何としても避けたい意向だ。
新成人が帰省後、親せきへのあいさつ回りなどで高齢者に接する可能性もあり、中山市長は17日の記者会見で「島外から参加する新成人は、来島したらすぐに検査を受けてほしい」と求めた。
成人式は21日午後2時から、市総合体育館メインアリーナで開かれる。第1部の式典は約30分、第2部の郷土芸能やミニライブのアトラクションは約20分を予定している。