1899年の創設以降、地元住民や観光客に愛されてきた石垣市公設市場が18日、リニューアルして新たな一歩を踏み出した。生鮮売場にはフードコートを新設し、1階フロアにも新規テナントを出店。食育や島の生活文化を体感できる、まちなかの新たな賑わいの場として期待される。
同日午前、9時半のオープンを前にセレモニーが開かれた。中山義隆石垣市長は「公設市場は、本市の商業分野や食文化の歴史を象徴する場所。新たな交流拠点創出をテーマに掲げたい」と式辞を述べた。
1987年の改築以来、34年ぶりのリニューアルとなる。製品の安全性を確保する新たな管理手法「HACCP(ハサップ)」に沿い、衛生管理環境の向上を図る。
市場の指定管理を請け負う石垣市物産公社の宮城龍二社長は「地元の農産物や海産物をイートインで提供し、2階の広場では定期的にイベントを開催する。コロナ禍をチャンスに変え、島の経済発展に向けて全力を尽くす」と決意した。
地下1階には新たに8業者が出店。川平にも店舗を持つハンバーガー店「Heart Land(ハートランド)」の安倍大輔店長(42)は「おすすめは石垣産の食材のみを使った石垣牛ハンバーガー。スタッフ全員が中国語を話せるので、コロナ後の展開が楽しみでもある」と意気込みを語った。
中央にはフードコートを設置。石垣を訪れるのは5回目だという金本清さん(51)=京都在住=は「ずいぶん明るい雰囲気になった。少しずつでも人が集まり、地域全体が活性化されることを願う」と笑顔を見せた。
1階には石垣市特産品販売センターや沖縄料理のいちば食堂に加え、新たに4事業所が出店。19日以降の営業時間は午前10時~午後7時。オープンキャンペーンとして22日まで、市場全館での割引きや特典販売が行われる。
石垣市中央商店街の仲本勉理事長は「この日を心待ちにしていた。長年『市民の台所』として親しまれてきたこの場所が、地元客や観光客によりさらに活性化すること願う」と祝いの言葉を贈った。
公設市場は1899年に魚市場として設立。市民の台所としての機能希薄化、地下一階生鮮売場の店舗数減少などが課題に挙がっていた。2017年、「石垣市公設市場の在り方調査及び機能改善業務」が実施され、衛生管理や市場の時代ニーズに応じた今回のリニューアルに至った。工事費は2千850万円で、一括交付金1千200万円が活用された。