【視点】離島振興への本気度試される

 離島医療の充実も喫緊の課題だ。新県立八重山病院が10月に開院するが、新病院の機能を最大限に発揮するためにも、県は引き続き医師確保に努めなくてはならない。石垣島、宮古島の周辺離島の医療にも目配りが必要だ。患者が沖縄本島に出向くことなく、地域内で治療を完結可能な体制構築が求められる。
 知事選では基地問題以外、安全保障政策はほとんど議論になっていない。しかし石垣市の尖閣諸島問題は、国の安全保障にも直結する。佐喜真氏は「領海を脅かす行為には、しっかりと抗議の意思を示すなど、断固とした態度で臨むべき」、玉城氏は「外交と国際法により解決が図られる必要がある」としており、ニュアンスに相違がある。長期的に、中国の尖閣諸島奪取の意思が明白な以上、県としても相応の覚悟を持つべきだ。
 宮古島、石垣島への陸上自衛隊配備問題も尖閣問題と関連する。佐喜真氏、玉城氏とも、配備に当たっては地域住民の理解を得る必要を強調するが、選挙戦で佐喜真氏は配備推進派、玉城氏は配備反対派に支えられている実態がある。
 翁長雄志知事は在任中、公務で八重山を2回訪れたが、いずれも日帰りで、住民と膝を交えて懇談する機会はなかった。一方、前任者の仲井真弘多前知事は在任中、日本最西端の与那国島まで出向いて一泊し、懇談会を開くなどとしており、両県政に対する地元住民の印象は異なる。地元住民の生の声を聞かずして離島振興は有り得ない。
 石垣島への遊説で、佐喜真氏は毎年八重山を訪れると約束した。玉城氏は母の故郷である伊江島から選挙戦を始めた。離島への熱い思いを持つリーダーなのか否か、地元住民は知事選を通じて本気度を試している。

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