県は28日、石垣市の新型コロナウイルス感染者27人の検体を検査したところ、26人が通常より感染力が強い変異株「N501Y」の陽性反応を示したと発表した。八重山保健所は「八重山でも沖縄本島や本土と同様、変異株が従来株から置き換わっている」と指摘している。八重山では5月の感染者数が同日現在で240人を突破している。前例のない急激な感染拡大が変異株の影響であることが検査結果で裏付けられた。
検体は7~20日にかけて採取された。「N501Y」の陽性反応が確認されなかった残る1件は、検査条件が悪く判定不能だったが、八重山保健所は「傾向から考えると、この1件も変異株である可能性が高い」と説明。今回の検査では事実上、変異株の陽性率は100%に達しているとの見方を示した。
変異株対策に関しては、基本的な感染対策の励行を求めた上で、家庭内感染を防ぐため、家族とも食事の時間をずらすことや、食事の際は席を離し、できるだけ会話しない―などの工夫を求めた。
全国的には「N501Y」よりさらに強力な感染力を持つとされるインド株の流入が懸念されている。八重山保健所は「インド株の流入にも注意しながら検査を行っていく」とした。
八重山の「N501Y」感染者確認は計35人になった。
県内では今週、313人の変異株検査が行われ、283件(90・42%)が「N501Y」の陽性反応を示した。主に22日から26日までの検体で、県内でも変異株の陽性率が90%を超えた。県内の「N501Y」感染者は計827人。県保健医療部の糸数公医療技監は「県内では『N501Y』が優位になっている。先週よりも急速に置き換わりが進んでいる」と述べた。