「正面から向かってきた」 尖閣の海警船 石垣帰港「第一桜丸」の船長証言  

尖閣海域から石垣島に帰港した地元漁船を出迎える水島氏(右端)ら=29日午後、登野城漁港

 尖閣諸島海域に出漁した八重山漁協所属の漁船3隻が29日午後4時ごろから、相次いで石垣島に帰港した。「第一桜丸」の砂川徳二郎船長(52)は、尖閣海域で地元漁船の操業を妨害するために接近してきた中国海警局船について「正面から向かってきた。脅しに来ていると感じた」と話した。

 漁船は「「第一桜丸」「恵美丸」「ZENKОUMARUⅡ」で、それぞれ漁業者3人が乗船。28日に石垣島から出港し、29日未明に尖閣周辺に到着。午前10時ごろまで操業した。
 砂川船長によると、周辺海域に姿を現した中国海警局船4隻のうち、機関砲を搭載した「海警1305」の船体が最も大きかった。
 「海警1305」は「第一桜丸」に接近してきたが、船体が巨大なため海保の巡視船1隻だけではガードが難しく、2~3隻で接近を阻むように壁をつくったという。漁業者にけがなどはなかった。
 尖閣海域の現状について砂川船長は「本当はアンカーを入れてゆっくり漁をしたかった。海保は一生懸命やっていると思うが、今のままでは漁はできない」と懸念した。
 一方、「第一桜丸」のオーナーで日本文化チャンネル桜社長の水島総氏は28日、3隻とは別の漁船に乗船して石垣島から尖閣海域に向かったが、漁業者ではないとして20カイリで海保の巡視船に止められ、引き返した。
 同乗した仲間信之宜野座村議や田中裕太郎杉並区議らも同様に、出漁を認められなかった。
 水島氏は29日、取材に対し「(尖閣に行けないのは)憲法違反だ。政府は中国の圧力に屈している」と疑問視。「中国は尖閣で少しづつ地歩を築いてきた。尖閣で漁業をしたい人が自由に行けるようにすべきで、政府の対応は問題を先送りしているだけだ」と批判した。この件で既に政府を提訴したとしている。

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