石垣市が旧空港跡地で進める新庁舎建設工事が完成に近づいている。市契約管財課によると5月末現在、工事の進捗(ちょく)率は93・5%に達した。8月末の完成と年内の供用開始を見込んでいる。市は開会中の市議会6月定例会に上程した一般会計補正予算案に工期の延長に伴う追加経費を盛り込んでおり、総事業費は約89億4000万円となる。
新庁舎の周辺には県立八重山病院や市消防庁舎も立地する。現在、3階建ての建物の全体像が姿を現しつつある。
著名な建築家の隈研吾氏が設計を手掛け、2019年10月に着工。工事は大手ゼネコンの大成建設、県内大手の大米建設、地元企業の黒嶋組のJVが受注した。
完成は当初、今年3月末の予定だったが、同課によると新たな地盤改良が必要になったことや、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で、約5カ月遅れになった。
補正予算案には新庁舎関連で4億5000万円を計上しており、このうち約3億9000万円が工事費。多くが島外作業員の交通費増額分など、工期延長に伴う人件費だという。
総事業費のうち、約43億円は国が公共施設の高台移転を支援する緊急防災減債事業債を活用して調達しており、70%に当たる約30億円は交付税措置で市に戻る見込み。
屋根に使用する赤瓦は愛知県産で、使用量は約12万枚。施工費は約2億円で、クラウドファンディングで約266万円が集まった。市は引き続き寄付を募っており、寄付者の名前を赤瓦に書き込む。
8月末の新庁舎完成後、業者に依頼して引っ越し作業を行い、年内に完了させる。完成式典は11月か12月の開催で調整する。
同課の野崎雅治課長は「年内の供用開始を今年最大のミッションと位置づけて取り組む。諸行事との兼ね合いも見ながら、円滑に引っ越しできるようにしたい」と話した。
新庁舎は延べ床面積約1万3921平方㍍で、現庁舎(約6109平方㍍)の約2倍。車場は一般用として235台分が確保されており、現庁舎(54台)の約4倍になる。設計理念に「みんなが集う石垣市のランドマーク」を掲げた。