コロナ対応で資金需要急増 融資実績、過去最高の163億円 沖縄公庫支店

融資実績の推移

沖縄振興開発金融公庫八重山支店(前村司支店長)が17日発表した2020年度の融資件数は1771件で前年度比約2・1倍、融資実績は163億9500万円で同約2・8倍に急増した。いずれも過去最高。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光関連業を中心に事業者の資金需要が高まった。前村支店長は「過去に類を見ない状況。今後も多様な資金ニーズに対応して円滑な資金供給に努める」と話した。
融資した資金の使途は人件費、家賃など運転資金の割合が90・6%を占め、前年度(56・8%)を大きく上回った。
融資の申し込みは八重山で新型コロナが初確認され、市が独自の緊急事態宣言を出した4月~6月が最も多く、全体の約6割に達した。
前村支店長は「緊急事態宣言の影響がものすごく大きく、支店としても9人の職員を総動員し、かなりの数の申し込みに対応した。利用者から温かい励ましや感謝の言葉もいただき、何とか乗り切った」と振り返った。
資金の種類は小規模事業者向けの生業資金が905件(前年度比約3・8倍)で113億円(同約3・4倍)、農林漁業資金が48件(同約3・6倍)で8億6700万円(同約3倍)などとなっており、多くの種類で前年度を上回った。
生業資金のうち、石垣市、竹富町、与那国町が推薦する無担保・無保証のマル経資金、沖経資金は前年度比で減少したが、3商工会合計で143件、15億9200万円の新型コロナ関連融資のあっせんがあった。
業種別では飲食店・宿泊業、卸・小売業といった観光関連産業のほか、医療・福祉業、農林水産業、運輸業、建設業などの申し込みも増加した。八重山全体で幅広い業種が新型コロナの影響を受けていることがうかがえる。
八重山経済の今後について前村支店長は、ワクチンの普及、世界自然遺産登録、ワーケーションの進展をプラス要因に挙げ「八重山はポテンシャルが高い。恐らく早いスピードで回復するだろう」と期待した。
沖縄公庫全体の実績は融資件数約1万8000件、融資実績約3000億円で、前年度を大きく上回った。

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