石垣市の尖閣諸島周辺に出漁した八重山漁協所属の漁船4隻が26日夕、相次いで石垣島に帰港した。尖閣周辺海域では、領海侵入した中国海警局の船4隻に包囲されたが、海上保安庁の巡視船が漁船をガードした。「恵美丸」に乗り組んだ漁業者の砂川忠さん(41)は「海保がいないと、恐くて尖閣周辺には行けない」と話した。
4隻は「恵美丸」のほか「第一桜丸」「第八泰正丸」「ZENKОUMARUⅡ」。それぞれ3人が乗船し、25日に尖閣海域に向け出港していた。
海保によると、機関砲を搭載していると見られる1隻を含む中国海警局船4隻は、午前2時半ごろから領海に侵入し、4隻に接近しようとした。
漁船は数十キロの釣果があったが、砂川さんは「行きたいポイントがあっても、中国船が来るので移動しづらかった」と顔をしかめた。漁船を護衛する巡視船は10隻以上いたため、海警局船は漁船を遠巻きにしたままだったという。
砂川さんは「尖閣に行く漁船がどんどん増えれば、日本の島であることをアピールできる」と、これからも尖閣周辺へ出漁する意思を示した。
石垣島では「第一桜丸」のオーナーで日本文化チャンネル社長の水島総氏らが4隻の帰港を出迎えた。水島氏は「漁業者には感謝しかない。危険や圧力を感じながら漁を続けてもらっている」とたたえた。
尖閣諸島の現状と今後に関し「今は日中がなれ合いのような状況で、日本はできるだけ穏やかにやっているつもりだろうが、北京五輪が終われば、尖閣や台湾は本当に危なくなる」と危惧した。
水島氏らは25日、4隻とは別の漁船で尖閣周辺に向かおうとしたが、漁業者ではないとして海保に途中で阻止され、石垣島に引き返した。