与那国町長選はあす8日投開票される。選挙戦最終盤、新型コロナウイルス急拡大と島への台風接近が重なり、3陣営とも「密」を避けた運動を続けながら、天候の状態にも気をもむ異例の選挙戦となっている。
町長選では、自民公認、公明推薦で前町議会議長の前西原武三氏(67)=久部良=、いずれも無所属で元町議の池間龍一氏(70)=同=、元町議会議長の糸数健一氏(67)=祖納=の3人が激しい選挙戦を繰り広げている。
与那国島で新型コロナ感染者は5、6日にそれぞれ3人確認された。3陣営は有権者との直接的な接触は極力控え、スポット演説や遊説で浮動票の取り込みを図っている。
台風9号は8日ごろ与那国島に接近する可能性があり、各陣営は有権者に積極的な期日前投票を求めている。
台風の影響で郵便投票された不在者票が届かない場合、最大で100票ほど影響があるとの予測もある。
与那国町長選は投票率が高いことが特徴。2009年は96・03%前々回13年は95・48%、前回17年は92・93%に上った。前回は21票の僅差で勝敗が決まっている。
町選管によると、8月2日時点の有権者数は1326人(男性727人、女性599人)。各陣営は当選ラインを600~640票と見ており、ある陣営の関係者は「本当に1票1票が勝負を分ける闘い。確実に票を獲得できるように気を緩めずに呼び掛けていく」と気を引き締める。
町議は与党3人が前西原氏、与野党5人が糸数氏の支持を表明している。
前回の18年町議選で、前西原氏、糸数氏それぞれを支持する町議が獲得した票数を単純に合算すると、糸数氏が約150票近くリードする。だが保革共闘を支持しない保守票が前西原氏に、革新票が池間氏に流れる可能性があり、勝敗の行方は見通せない。
ポイントになるのは基礎票に上積みされる自衛隊の約200票の行方だが、票読みは困難とされる。
激戦を繰り広げる3氏は6日、「最後まで一生懸命政策を訴えていく」(前西原氏)、「皆さんに考え方が伝わるようにやっていくだけ」(池間氏)、「全力を挙げて人事を尽くすのみ」(糸数氏)とそれぞれ意気込みを語った。