糸数氏「役場組織を強化」 コロナ給付金年内支給へ 当選から一夜 与那国町長選

当選から一夜明け、報道陣の取材に応じる糸数健一氏=9日午後、祖納の自宅

 与那国長町選で22年ぶりの「非自民町長」として初当選を果たした無所属の元町議会議員、糸数健一氏(67)は当選から一夜明けた9日午後、祖納の自宅で報道陣の取材に応じた。「ほっとしていると同時に、重責と緊張を感じている」と話し「副町長の人選に早急に取り組み、役場組織の強化を図る。町民全員へのコロナ給付金5万円も年内に支給したい」と今後の方針を述べた。

 当選確定後、夜中まで電話に対応していたという糸数氏。表情からは安堵と疲労が伺えたが「昨夜の酒はうまかった」と晴れやかに話した。
 「外間町政から誰が出るか読めず、池間氏の出馬にも正直戸惑った。コロナ禍でもあり苦労したが、1対1になろうが何人出ようが、突っ走ろうという気持ちだった」と選挙を振り返った。
 自公に支えられた前西原武三氏に122票の大差をつけての当選。「現町政の存続は何としてでも阻止したかった。島の将来に対する危機感が民意となり、結果的にこのような大差をつけた」と勝因を分析した。
 就任後の最優先事項は副町長の選任。副町長を2人、もしくは課長の上に統括部長を置き、組織体制の強化に取り組む。新型コロナウイルスの影響を受ける生活困窮者の支援については、具対策として5万円の給付金を年内に全町民に支給する。
 糸数氏を支持した保革内部の対立を懸念する意見については「全く心配していない。排除の論理はなく、どうすれば取り込んでいけるかのみを考えている」と強調。今回の選挙で糸数氏を支持した革新系の議員らも「自衛隊賛成」を了承した上で協定書を結んだという。
 新庁舎建設作業は、建設予定地について再度民意を問うアンケートを行い、スピード感を持ってオープンな姿勢で進めていく方針。
 陸自駐屯地に関しては「電子戦部隊設置の動きがあるのは認識しているが、詳細を聞いていないので白紙の状態。自衛隊に賛成という立場は今後も譲らないが、独断と偏見でやるのではなく、納得のいく説明を国にさせた上で対応していく」と強調した。
 共に戦った陣営や支持者には「コロナ、そして猛暑の中の選挙戦。糸数のためというより、有権者が自分事としてそれぞれの立場で戦ってくれた。皆さん以上に頑張らなければ」と感謝と意気込みを語った。

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