石垣市は11日、かりゆし病院で今月実施した新型コロナウイルスのPCR検査で、感染者のうち8割がワクチン未接種だったと明らかにした。市は接種率を上げることで感染拡大を防げると見ており、2回接種者の市民に対し、協力店で割り引きなどの優待を受けられる「ワクチンパスポート」を今月下旬から発行する。
市によると、かりゆし病院で今月1日~10日に判明した感染者51人中、未接種者は40人(78・4%)、1回接種は8人(15・7%)、2回接種は2人(3・9%)だった。1人は不明。
2回接種の2人のうち、50代女性は2回目の接種から5日目で感染が判明した。一般的に2回目接種後、抗体ができるまで2週間程度と言われており、この期間中の感染だった可能性がある。
もう1人の60代男性は、2回目接種から2週間以上経過後に陽性反応を示した。ウイルスがワクチンの防壁を突破する「ブレイクスルー感染」だった可能性がある。
ただ2回接種者は2人とも無症状で、市は「ワクチンによる重症化予防の効果が現れた」としている。
全市民の接種対象者に対する1回目の接種率は10日現在で71・7%に達した。ただ20代は50・4%、30代は62・3%で、若年層が低迷している。
沖縄本島の「第5波」を受け、市内でも感染者の増加に歯止めが掛からない状況。市は、未接種の若年層を中心に感染が拡大していると分析しており、市民向けワクチンパスポートの発行で、改めて接種を促す。
既に観光客に対し、2回接種者が協力店で優待を受けられる「あんしん島旅パスポート」を発行している。市は今後、協力店に対し、ワクチンパスポートを使って市民にも同様の特典を提供できないか調整作業に入る。
ワクチンパスポートは、専用サイトにアクセスすることでスマートフォンに表示できるようにする。スマホを持っていない人向けには、申請に応じてカードを発行する。
中山義隆市長は11日の記者会見で「現在の感染拡大をしっかり抑え込まないと、今後の経済活動回復も非常に厳しくなる。11月には石垣島まつりも予定しているので、皆で接種してまつりを楽しめるようにしたい」と呼び掛けた。