【視点】アフガン民主政権が瓦解

 アフガニスタンで反政府勢力タリバンが首都カプールを制圧し、勝利宣言した。2001年の「9・11テロ」をきっかけに米国などが侵攻し、タリバンを排除して樹立した民主主義政権はあっけなく瓦解した。
 タリバンは1996年に政権を掌握し、音楽などの娯楽を禁止し、イスラム教経典「コーラン」の教えを厳格に解釈したイスラム原理主義的な政策を推し進めた。
 特に女性に対する抑圧的な政策で知られ、女性が教育を受けたり、就労することを禁止するなど、反動的な政策を推進した。タリバン復権後、既に支配地域では、独身女性が連れ去られ、強制的に結婚させられているという。
 アフガニスタンでは選挙で2004年にカルイザイ氏、04年にガニ氏が大統領に就任するなど、民主主義政権が安定したようにも見えたが、米国は今年4月、駐留米軍の撤退開始を発表した。タリバンの勢力拡張は、直接的には米軍撤退で政府軍の後ろ盾が失われたことがきっかけだ。
 タリバンは中ロとの関係構築に積極的とされ、中国の王毅外相は7月、天津にタリバン幹部を招き、面会している。米国に代わり、この地域で中国の影響力が増大する可能性がある。
 「テロとの戦い」を掲げ、当時のブッシュ米政権が開始したアフガン戦争の成果はほぼ無に帰した。アフガニスタンでは民主主義政権下でも汚職が横行し、タリバン復権の素地になったとも伝えられる。民主主義の騎手を自認してきた米国の威信は大きく低下しそうだ。

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