石垣市が旧石垣空港跡地で建設を進めている新庁舎がほぼ完成し、外構工事や設備工事を残すのみとなっており、市は11月中旬の式典開催と同月中の供用開始を目指している。工事費が設計変更や島外作業員の渡航費増額などで当初の見込みを上回ったため、市は18日招集される臨時議会に工事費の増額に伴う契約金額の変更を提案する。
新庁舎本体の工期は今月末となっており、現在、工事はほぼ完了し、検査が行われている段階だという。世界的に著名な建築家隈研吾氏の事務所が設計を手掛け、赤瓦屋根が幾層にも重なった特徴的な外観が姿を現した。植栽などの外構工事や設備工事も10月中旬には完成する。
市は業者に依頼し、9月から引っ越し作業を開始。12月議会前には移転を完了したい意向で、9月議会が現在の議場で開催される最後の議会になりそうだ。
建設工事は2019年に始まり、建設工事は大手ゼネコンの大成建設、県内大手の大米建設、地元企業の黒嶋組のJV(共同企業体)が受注した。
完成は当初、今年3月の予定だったが、新たな地盤改良による設計変更が必要になったことや、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で遅れた。
JVとの契約金額は49億9730万円だったが、設計変更や工期延長に伴う島外作業員の渡航費増額などを受け、数億円規模で膨らんだ。外構工事や設備工事も含めた総事業費は約89億4000万円になる。
総事業費のうち、約43億円は国が公共施設の高台移転を支援する緊急防災減災事業債を活用して調達しており、70%に当たる約30億円は交付税措置で市に戻る見込み。
現庁舎は最も古い棟が68年、最新の棟が88年に建設されたが、老朽化が進んでいる。新庁舎は延べ床面積約1万3921平方㍍で現庁舎の約2倍、敷地面積は約3万159平方㍍で、現庁舎の約3倍になる。
市契約管財課の野崎雅治課長は「工期は少し遅れたが、大きな事故もなく工事が完成し、安堵している。今後は開庁に向けて引っ越しが始まるので、気を引き締めて準備に取り組みたい」と話した。