「セルフロックダウン」―。新型コロナウイルス感染防止のため、玉城デニー知事が発したメッセージの中に、耳慣れない言葉が入っていた。新聞やテレビが多少報道したが、今、この言葉を口にする人を周囲で見かけない◆新型コロナウイルス「第5波」の感染者数は、文字通り想像を絶する規模に達した。ワクチン接種を上回るスピードでデルタ株がまん延。感染者は連日のように過去最高レベルで増え続け、いつがピークなのか、誰も予想できない◆東京都の小池知事や大阪府の吉村知事など、当初は歯切れのよいメッセージが印象的だった知事たちも、最近になって評価を落としている。コロナ禍が始まって1年余り、我慢に我慢を重ねた挙げ句、状況が好転するどころか「今が最悪」というのでは、政治へのストレスが溜まるのも無理はない◆全国ワーストの感染状況なのが沖縄だ。ロックダウン(都市封鎖)すれば状況が改善するのは分かっているが、法的にそれはできない。感染防止は、究極的には個人の自己責任である◆そうであるなら、どうすればメッセージが県民の心に届くのか、知事は真剣に熟考してほしい。「セルフロックダウン」は一説によれば静岡県の造語らしいが、単に耳新しいだけの言葉では意味がないし、現に効果もない。