竹富町へのふるさと納税寄付金が今年度、上半期だけで過去最高の6億円に達した。返礼品としてリゾート施設の宿泊ギフト券を希望する寄付者が多く、西表島の世界自然遺産登録もあり、新型コロナウイルス収束後の離島観光に期待が集まっていると見られる。町企画財政課は「地域の魅力を発信し、町民のアイデアも取り入れながら、ふるさと納税を増やしたい」と意気込む。
町へのふるさと納税寄付金は2019年度9400万円、20年度2億5000万円と右肩上がり。今年度は上半期だけで20年度の2・4倍に達した。
町企画政策課によると、背景にあるのは返礼品の充実。最も人気が高いのが寄付金10万円の返礼品である星野リゾートの宿泊ギフト券で、全体の6~7割を占めるという。高額寄付が増えたことが寄付総額を押し上げた。
星野リゾートは竹富島、西表島、小浜島でリゾート施設を運営している。返礼品として宿泊ギフト券が増えていることは、離島観光への関心の高さをうかがわせる。
ほかに、JAL、ANA系列の事業者が提供する航空券と宿泊券のセット、乗船クーポン券、観光体験プログラムのチケットなど、町の観光資源を生かした返礼品が充実している。
町は世界自然遺産に登録された西表島で観光客数の制限を検討するなど、観光の「量から質」への転換を進める。ふるさと納税の返礼品を利用して町を訪れる客層は経済的に余裕があり、時間をかけて町の自然や文化を楽しむ人たちが多く、町関係者は「観光客としてのマナーも良く、歓迎できる客層」と話す。
町は今年度当初予算でふるさと納税寄付金として1億5000万円の歳入を見込んでいたが、寄付額は予想を大きく上回った。
このため、新たにふるさと納税寄付金4億5000万円の歳入を盛り込んだ一般会計補正予算を10日開会した町議会9月定例会に上程した。
寄付金は「ふるさと応援基金」に積み立てられ、課長級職員でつくる町ふるさと納税検討委員会(委員長・大浜知司副町長)が随時、使途を決める。補正予算が可決されれば残高は約8億円に増える見込み。
返礼品の費用や、ふるさと納税のサイト使用料なども基金から支払うため全額が町の収入になるわけではないが、主に、国や県の補助対象となりにくい事業の財源として使われるという。