2001年9月11日の米国同時多発テロから20年。「世界を変えた」と言われた事件の衝撃は今なお尾を引いているが、米国の主戦場は現在、「テロとの戦い」から「中国との覇権争い」へと変わった。9・11テロの歴史的意義も見直しを迫られている。
事件の日、ハイジャックされた航空機2機がニューヨークにある110階建てのワールドトレードセンターに相次いで突っ込み、ビルは倒壊した。
別の航空機はペンタゴン(米国務省)に衝突した。さらに別の1機もハイジャックされ、政府機関を攻撃する計画だったと見られるが、乗客の抵抗に遭い衝突した。
ソ連崩壊による冷戦終結後、名実ともに世界の覇者となった米国だが、この事件以降、主敵は世界のテロリストになった。9・11テロ主犯のテロ組織「アルカイダ」に協力したとみなされたアフガニスタン、イラクが具体的な標的とされ、米国は「テロとの戦い」に突き進んでいく。
アフガニスタン戦争でタリバン、イラク戦争でフセイン政権が打倒され、米主導で民主政権が樹立された。
だが、米国が中東に注力している隙を突くように、アジアでは中国が一気に台頭した。軍事力一辺倒だったソ連とは異なり、中国は強大な経済力も手中にし、米国の覇権を脅かすほどの存在に成長した。