医療法人上善会(橋本孝来理事長)が運営する介護老人保健施設聖紫花の杜(野村義信施設長)は14日夜、入所者と職員計11人が新型コロナウイルスに感染し、クラスター(感染者集団)が発生したと見られる、と発表した。
同施設によると、入所者をケアする介護士の20代女性職員が13日、体調不良を訴えて病院を受診し、PCR検査で陽性が判明した。これを受け、上善会が運営するかりゆし病院が14日、入所者60人と入所施設の職員40人の計100人のPCR検査を実施。入所者7人、職員3人の陽性が新たに判明した。
陽性者の年代は入所者が70代1人、80代4人、90代1人、100歳代1人、職員が20代1人、30代2人、40代1人。
入所者は2人発熱しているが、他は全員無症状だという。大事を取って入所者の陽性者は全員が八重山病院に入院する予定。
最初に感染が判明した職員は12日まで勤務していた。渡航歴などはなく、感染経路は不明。
入所者は全員面会禁止になっているため、ウイルスは施設関係者から持ち込まれた可能性が高い。同施設の通所施設で実施しているデイケアは5日間休止する。
同施設では1階が通所施設、2~3階が入所施設で、陽性者は全員3階から出ている。15日には通所施設の職員全員がPCR検査を受検する予定。隣接するかりゆし病院については、今後、関係者の体調を観察した上で異変があれば検査を行う。
陽性者11人は全員がワクチン接種を2回受けており「ブレークスルー感染」と見られる。14日の記者会見で、かりゆし病院の境田康二院長は「ワクチンは、当初言われていたほど感染を防ぐ効果はないようだ。ただ重症化を防ぐ意味は非常に大きい。医療現場を逼迫させず、酸素投与なしで様子を見ることができるのは、ワクチンの恩恵だ」と強調した。