防衛予算、財政的に11億円有利 石垣市、ごみ処理関連2事業

市がかさ上げ工事を予定している一般廃棄物最終処分場=2020年9月

 石垣市は、ごみ処理関連の2事業に防衛予算を活用する方針で、防衛予算を使わない場合に比べ、概算で計約11億円財政的に有利になると試算している。石垣島への陸上自衛隊配備に反対する地域住民や野党は防衛予算の活用に反発しているが、市環境課は「市にとって最も有利な財源を使うことが仕事だ」(大城智一朗課長)と指摘する。

 市が防衛予算を活用するのは、クリーンセンター(ごみ焼却施設)基幹改良工事と一般廃棄物最終処分場のかさ上げ工事。いずれも今年度は実施設計を行い、来年度の着工を目指す。
 概算事業費はクリーンセンター基幹改良工事が約58億円、一般廃棄物最終処分場が約3億円。クリーンセンター基幹改良工事の補助事業は、環境省事業が補助率2分の1なのに対し、防衛省による民生安定施設整備事業補助金だと補助率が3分の2に上がる。市にとって、防衛予算のほうが環境省予算に比べ約9億円有利になる。
 一般廃棄物最終処分場のかさ上げは、処分場の容量を増やすことで施設延命化を図る事業。環境省の基準では維持管理の一環という位置づけになるため補助対象にならず、防衛予算以外の補助メニューはないという。防衛省の民生安定施設整備事業補助金を受けると、約2億円が補助対象となる。
 市としては2事業に防衛予算を活用することで、約11億円を市民生活向上のための新たな事業に充てられる。
 市はクリーンセンター基幹改良工事の実施設計業務入札を当初、8月に予定していたが、陸自配備に反対する地域住民の反発に配慮して延期。8月25、27日に地域住民、一般市民対象の説明会を開催した。新たな入札期日を月4日に決定している。
 一般廃棄物最終処分場かさ上げ工事の実施設計業務入札は、防衛省への補助金交付申請と交付決定後に行う。
 市は市議会9月定例会で、かさ上げ工事の実施設計費を盛り込んだ一般会計補正予算を提案。野党は市議会9月定例会で「防衛予算をちらつかせるのはアメとムチのようなものだ」と反対したが、同予算は賛成多数で可決された。
 地域住民対象の説明会でも、クリーンセンター基幹改良工事への防衛予算活用に反対する声が上がったが、一般市民対象の説明会では「防衛省予算か環境省予算かで、この事業が1年も2年も遅れては困る」と事業推進を求める声が出た。事業に防衛予算を活用しないよう求める声は市民の一部にとどまっている。
 石垣市では現在、平得大俣地区への陸自配備工事が進んでいる。駐屯地開設後は500~600人の隊員と家族が移住するため、ごみ処理などのインフラ整備に防衛予算を活用することが可能になった。

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