新型コロナウイルス緊急事態宣言が全都道府県で解除されたことを受け、1日夜、石垣市の繁華街・美崎町でにぎわいが戻った。ワクチン接種証明と検査の陰性証明を活用し、営業と感染対策の両立に生かす飲食店の取り組みも本格的に始動した。
美崎町の雑居ビル内にある「おばんざい&Bar十五段屋」は、感染拡大を受け、4月12日から休業し、テイクアウトの弁当の販売のみを行っていたが、1日から営業を再開した。
同店は9月上旬に県の感染防止対策認証店となった上で、接種証明と陰性証明を活用する石垣市の協力店認定も受けた。ワクチン接種証明か陰性証明を提示した人のみ入店を認める。
店内のカウンターにはパーテーションが設けられ、新たに購入した空気清浄機も設置された。
約半年ぶりの再開に、マスターの小山良之さん(61)は「待っているお客さんがいるので、(店を)開ける。できる範囲で、感染症対策をしつつ今まで通りやっていく」と強調。「お客さん同士がリスクを考えなくて良いように、協力店の認定を申し込んだ。安心を最大限に確保したい」と期待した。
午後4時時点で、予約は常連客で埋まった。小山さんは「これからも行政の決定に従いながら、楽しい空間を作っていきたい」と決意を新たにした。
チェーン居酒屋「源・美崎店」は県の認証を受け、約1カ月ぶりに営業を再開。店内では、午後5時台の早い時間帯から再開を待ちわびていた多くの客の姿が目立った。店長の西里昌史さん(41)は「楽しみな気持ちが強い」と笑顔。
同店のグループは5月の緊急事態宣言の発令後から休業し、一時は酒類の提供を停止した上で午後8時までの営業を再開したが、9月10日から再び休業していた。再開後も当分の間は午後9時までの時短営業を続ける。店内ではアルコール消毒を徹底し、会計を席で行い密を避けるなどの感染対策を進めている。
西里店長は「時短や休業が長引いたせいで、お客さんも長居するという感覚がなくなったのかも知れない。感染対策を徹底したい」と意気込んだ。
居酒屋の前でほろ酔い気分の40代の男性客は「美崎町が元の姿に戻って安心している。自粛要請が再び出ても、もう市民は従わないのでは」と話した。