来年2月27日投開票の石垣市長選は20日、告示まで2カ月となる。革新系野党は「保革共闘」体制の構築に向け、保守系の元市議擁立を視野に調整を進めている。ただ現時点で元市議は慎重な姿勢を示しており、情勢は流動的。現職、中山義隆氏(54)は年内に記者会見し、4選出馬を正式表明する見通し。
元市議は60代で、現職時代、自民党で中山市政を支えた。18日、八重山日報の取材に対し「出馬は考えていない」と述べた。ただ中山氏の4選に関しては「反対だ」と明言。「議会への対応を見ていると傲慢過ぎる。いかがなものかと思っている」と指摘した。
中山氏は17日の市議会で、公約のゴルフ場建設を4期目で実現する考えを示した。元市議は「(中山氏は)『県が悪い』と批判することで、かえってゴルフ場建設の足を引っぱっている。県と政治的な考えが違っても、批判ばかりではいけない」と中山氏の言動を疑問視した。
野党は過去の市長選で中山氏に3連敗しており、従来の「保守対革新」の構図では市政奪還は難しいと分析。保革共闘に活路を見出し、中山市政に反発する保守層を取り込みたい考えだ。
与党を離脱した砥板芳行氏も、元市議が出馬すれば支援に回る意向と見られる。
中山市政に反対する市民団体「『チェンジ市政』石垣市民の会」は独自に革新色の強い候補を人選しており、野党側は一本化する方向で調整している。
与党内では、中山氏支持が多数を占める。12月定例会の一般質問では、与党の保守系市議から「4期目を後押しする」「アフターコロナを見据えた石垣市づくりには、中山市長の経験とノウハウが必要だ」などと中山氏の出馬を望む声が相次いだ。
中山氏本人も議会で「4期目を目指して当選したあかつきには、落ち込んでいる観光、経済、市民生活を取り戻すのが優先課題」と強調。今後、自民党、公明党への推薦依頼、後援会の態勢づくりなど、4選に向けた作業を加速させる。
ただ与党内には市長選への態度を明確にしない市議がおり、砥板氏離脱の余波を受け、結束の揺らぎが表面化しつつある。
市議会中立会派「未来」の箕底用一氏(40)も出馬に意欲的とされるが、現時点で具体的な動きはない。