市有地賃貸契約「更新せず」 砥板氏、陸自配備予定地 長浜市議と政策協定 石垣市長選

長浜氏と政策協定書を結んだ砥板氏(右)=20日午後、次呂久成崇県議事務所

 2月27日の石垣市長選に出馬表明した保守系市議の砥板芳行氏(52)は20日、石垣島への陸上自衛隊配備計画に関し、市長に就任した場合、駐屯地予定地にある市有地の賃貸契約を更新しない方針を示した。野党の長浜信夫氏と結んだ政策協定書で明らかにした。海自、空自の施設建設を許さないことや、自衛隊による空港、港湾使用は災害時などの人道目的以外に認めないことも協定に盛り込んだ。市長選に向け、従来の保守的なスタンスを大きく転換した。

 長浜氏は市長選への態度を保留していたが、この日、砥板氏と政策協定を結び、砥板陣営への合流を表明した。
 政策協定では、駐屯地予定地に含まれる市有地について「契約の更新をしない」と明記した。長浜氏は当初、賃貸契約破棄を求めたが、法的に可能か疑義が出たため、この表現で落ち着いた。
 砥板氏は、玉城デニー知事と連携する考えを示した上で「知事は『住民合意のない配備は強行すべきでない』と言っている。私もそのスタンスに立つ」と強調した。
 協定では、陸自配備に関する住民投票の実施も確認した。砥板氏は今年の参院選、市議選、知事選のいずれかに合わせて実施を検討する考えを示した。
 尖閣諸島に標柱を設置するための上陸については「今の(中国との)緊張状態で、上陸することは現実的に不可能だ」と述べ、市長に就任しても政府に上陸申請しないと明言した。
 昨年6月議会に改正された自治基本条例は「改正整備し、市民の要望に応える」とした。両氏によると、削除された住民投票制度を復活するなど、改正前の条文に戻し、社会情勢に応じた内容にする意図だという。
 今後のリゾート開発は「抑制し、自然環境保全・整備に努める」とした。砥板氏は石垣市で計画されているゴルフ場について、計画に反対する「アンパルの自然を守る会」の案内で照屋義実副知事と共に予定地を視察したと明らかにし「(計画の)大幅な見直しを求めなくてはいけないという考えに至った」と強調した。
 砥板氏は八重山防衛協会の事務局長として陸自配備を推進し、市議会で尖閣諸島への標柱設置、自治基本条例の改正、ゴルフ場建設に賛成してきた。従来の政治姿勢を改めた理由について「地方議員は所属する政党や団体をバックにして政治活動を行う。一方、市長は公正公平に行政サービスを提供しなくてはならず、思想信条で行政運営を行ってはならない」と説明した。
 長浜氏は「現市政を変えるため、万難辛苦の思いを乗り越え、砥板氏支持の決意に至った」と述べた。

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