石垣市議会の市役所新庁舎建設工事請負契約に関する調査特別委員会(百条委員会、花谷史郎委員長)が、中山義隆市長を2月7日に証人喚問する方向で調整していることが分かった。28日の会合で日程を決める。証人喚問では、新庁舎屋根の赤瓦に県外産が使用されることになった経緯などをただす。2月27日の市長選をにらみ、野党は市長を厳しく追及する方針と見られる。
市は県産品の使用を奨励しているが、新庁舎の赤瓦には愛知県産が使われたため、野党は批判を強めている。
百条委の委員で、市長選に出馬表明している砥板芳行氏は今月12日の百条委で「新庁舎建設工事の特記仕様書にも、県内産赤瓦を使用すると書かれている。相当な理由がないと変えられない。市が県内産赤瓦にこだわった形跡が全く見えない」などと市の姿勢を疑問視した。
中山市長は1月16日、市長選に向けた後援会事務所開きで赤瓦問題に言及。新庁舎設計者の隈研吾事務所が島の風景に合う新しいデザインの赤瓦を提案し、沖縄本島の赤瓦業者に製造を打診したが断られたため、やむなく本土の会社に発注したと説明した。
その上で「赤瓦の使用に関して不正は一切ない。どこかの業者を『使え』と不当な介入もしていない。百条委にも正々堂々と出ていく。相手方は選挙のネタにしようとしているだけだ」と述べた。
12日の百条委では、2020年9月に建設業者が愛知県産赤瓦を使用する施工計画書を提出し、市の担当課長が決裁したことが判明。中山市長への直接的な報告はなかったとしたが、市長を批判する委員は「市長も事情は把握していたはず。トカゲのしっぽ切りにはしない」と証人喚問で追及する考えを示す。
百条委は月内の証人喚問を求めていたが、市の担当課や議会事務局によると、市長のスケジュールの都合で2月7日を軸に調整することになった。28日の臨時議会後に招集される百条委で日程を議論する。
砥板陣営は市長選に向けて作成したチラシなどで赤瓦問題を取り上げ、中山市長への批判を強めている。中山陣営も反論の準備を進めており、選挙戦でも赤瓦問題を巡って応酬になる可能性が高い。
百条委の証人喚問には法的な強制力があり、正当な理由のない証言の拒否や偽証には地方自治法で罰則が設けられている。