20日告示、27日投開票の石垣市長選で、八重山青年会議所(平得脩一郎理事長)主催の公開討論会が4日夜、市民会館大ホールで開かれ、立候補を予定している保守系市議の砥板芳行氏(52)、現職の中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=が論戦した。ゴルフ場建設、陸上自衛隊配備の是非を問う住民投票、尖閣諸島問題で立場の相違が浮き彫りになった。
予定候補者同士が質問をぶつけ合うクロストークでは、ユニマットプレシャスが進めるゴルフ場付きリゾート施設建設計画に関し、中山氏は「観光の質を上げ、収益を高めるにはゴルフ場は必要だ」と計画推進の考えを示した。
砥板氏は、10階建てなどで計500室のホテルが計画されているとして「ゴルフ場だけでなく、ホテルから派生する環境負荷が非常に深刻ではないか」と計画見直しを求めた。
高校生からは事前に、カンムリワシを保護するため、自衛隊配備に関する住民投票の実施を求める質問が寄せられた。
中山氏は、駐屯地予定地周辺でもカンムリワシの営巣は確認されていると説明し「繁殖が阻害されているとは考えていない」と回答。住民投票に関しては、市長提案以外に議会や住民からの提案が可能だとして「それぞれが取り組んでいただければいい」と述べた。
砥板氏は、カンムリワシ保護条例制定を検討すると表明。「駐屯地建設で島の世論は二分され、傷ついた方々がいる。これまでの陸自配備の検証を含め民意を問う必要がある。大きな選挙とセットで、市長提案で住民投票条例を議会に提案したい」と強調した。
高校生からは尖閣諸島問題への対応を問う質問もあった。砥板氏は「高い緊張状態がある中、政治的な思惑を持って突然調査を強行し、導火線に火をつける行為は厳に慎むべきだ」と、尖閣周辺海域を洋上視察した中山氏を批判した。
中山氏は「中国の圧力が高まり、海警局船が何度も領海侵犯し、接続水域には常駐している。中国との信頼関係は全くないと考えていい」と反論。「周辺海域を調査し、漁業にどう生かしていくのか、市としてできることはしたい」と尖閣諸島への上陸申請や今後の資源活用に意欲を示した。
重要政策として、砥板氏は沖縄本島との医療・福祉・教育の格差解消、観光人材の育成、大型リゾート開発の見直しを挙げた。中山氏は新型コロナウイルスからの脱却と景気回復、子育て支援政策の拡充、強い地場産業の育成を掲げた。