石垣市が尖閣諸島周辺海域で海洋調査を実施した際、東海大の調査船に八重山青年会議所(JC)メンバーなど民間人2人が乗船していたことに賛否が割れている。市長選に立候補する砥板芳行氏の陣営は9日、後援会事務所で記者会見し「尖閣の観光ツアーそのもの」(宮良操市議)と抗議した。市は乗船者に関し「適切な人材」と反論した。
調査船には市長選に立候補予定の現職、中山義隆氏や市職員が乗船し、1月31日、尖閣諸島を洋上から視察した。砥板陣営は東海大が公開した映像を分析し、調査船に民間人男性2人が乗船していたことを確認した。
宮良市議は「民間人を乗船させる説明責任が問われている。お友だち市政だ」と批判。「調査は選挙のPRと言われても仕方がない。しかも隠密で情報操作している。市民を冒とくするものだ」と批判した。
八重山JCは調査後の2月4日、市長選立候補予定者の公開討論会を開いた。次呂久成崇県議は「(討論会で)尖閣の海洋調査を解明したい考えだったが、当日に議論の内容を重点政策の範囲内に制限された。何か意図的なものがあったのか」と疑念を表明。宮良氏も「討論会はフェアだったのか。JCには主催者としての説明責任がある」と指摘した。
砥板陣営は市、東海大、八重山JCに抗議文を送る考え。
石垣市の小切間元樹企画部長は取材に対し、調査船の乗船者について「東海大で適切な人材を人選して乗船してもらったと認識している」と述べた。
東海大の山田吉彦教授は取材に対し、民間人男性のうち1人は調査で飛ばす予定だったドローンの所有者だと明らかにした。「ドローンの操縦に詳しく、調査船の船長とも旧知の仲」と人選の理由を説明。もう1人のJCメンバー男性は、ドローン操縦助手や撮影スタッフとして乗船したという。当日は悪天候のためドローンを飛ばせなかった。ドローン所有者の男性は取材に「場合によっては自分のドローンを失う可能性もあった。ボランティアで協力したのに、抗議は筋違いだ」と砥板陣営に不快感を示した。
八重山JCの平得脩一郎理事長は、公開討論会の運営について「最後の打ち合わせで議題を重要政策に限ることを決め、予定候補者2人も納得しており、何ら意図はない。運営に意見があるなら、言ってもらえば完全なフリートークになる可能性もあった」と公平性を強調した。