石垣市の委託を受け、1月に尖閣諸島周辺で海洋調査を実施した東海大の山田吉彦教授は2日、BSフジの番組で、海保の巡視船が調査船を警護したことについて「国際法に基づいて何の問題もない調査を、沿岸の自治体が行う。法と秩序を守ると宣言している国家が、それをしっかりと実践した」と評価した。
調査時期について「唯一気を使ったのは、北京五輪より前にしたい。我々の主張や、正規の調査をやった事実が(五輪に)埋没してしまうことを心配した」と述べ、北京五輪前のタイミングを選んだことを明かした。
山田教授によると、調査時期は中国の旧正月である春節前で、例年、尖閣周辺を航行する中国海警局の艦船が通常の4隻体制から2隻体制に減る傾向がある。番組で同席した自民党の佐藤正久外交部会長(参院議員)は「中国海警船が大きく暴れることが難しい時期」と解説した。
調査計画は極秘裏に進めた。中国の妨害を警戒し「確実に安全な状況で行きたいので、表に出さないよう注意した」(山田氏)ためだ。市は昨年の12月議会で一般会計補正予算案に調査費1100万円を計上したが、事業名は「石垣市周辺海域実態調査」とし「尖閣」の名前は出さなかった。
市と東海大が調査計画を考え始めたのは5年前、決定したのが昨年5月、具体的なプランを煮詰め始めたのが同9月だったという。山田教授が海保や海上自衛隊と事前に調整し、トップから調査船を警護する約束を取り付けた。
海洋調査に対する中国の反応について、山田教授は「中国では全く報道されていない。(尖閣周辺で)中国はイニシアチブを取っていると国内でも国際的にもうたっているのに、実は日本がしっかりと守っていることを伝えられない。黙殺せざるを得ない」と指摘した。
尖閣諸島を守るために必要なこととして、山田教授は「人の力による島の開発と環境保全。両方できたら中国も何も言えない」、佐藤氏は「国家公務員の常駐、領域警備法の整備」と強調した。