JFE、送水管工事2回受注 最低制限とほぼ同額「不自然」

西大舛高旬町長が官製談合防止法違反などに問われた背景になったのは、町内の島々を結ぶ海底送水管の更新工事だった。町によると、最低制限価格の情報漏えい先とされるJFEエンジニアリングは、西大舛町長就任の翌年である2017年と20年の2回、同工事を受注し、入札額は17年が最低制限価格と同額、20年が最低制限価格より1000円高いだけだった。建設工事関係者からは「不自然」との指摘も出ている。
竹富町の海底送水管は石垣島―竹富島間、新城島―黒島間、西表島―小浜間島など6カ所で整備されており、整備年代はいずれも昭和50年代ごろ。老朽化による漏水などの問題が起きている。町は16年度から順次、更新工事を進めている。
西大舛町長の逮捕容疑となったのは石垣島―竹富島間の海底送水管更新工事で、入札額は最低制限より1000円高かった。県警によるとJFEの岡野裕樹容疑者は、同社の下請けである大恵インダストリーの兼本力容疑者、兼本容疑者から海上警備の業務を請け負った漁業の吉澤傳容疑者を通じ、西大舛町長から最低制限価格の情報を得た疑いがある。
それぞれの容疑者と西大舛町長との間でどのような接点があったのか、県警は現時点では明らかにしていない。
これより前の17年の新城島―黒島間の海底送水管更新工事も、同社が最低制限価格と同額で落札していた。
建設関連業者の1人は「数億円規模の工事であれば、最低制限価格と見積もりは異なるのが自然で、100%一致するのは常識ではほぼ考えらえない」と首をかしげる。
一方、別の業者は「積算能力の高い業者が過去の同種の工事費を研究すれば、最低制限価格と同額の見積もりを出すことは不可能ではない」と指摘する。
同町の海底送水管更新工事は16年、西表島―新城島間で行われ、JFEとは別の事業者が受注した。そういった事例や、その後に最低制限価格と同額で落札した経験を踏まえ、20年の工事で最低制限価格を正確に積算した可能性も完全には否定できないとする。
今後は、情報漏えいの背景とされる西大舛町長とJFE側との「癒着」が、どこまで捜査で立証されるかが焦点になりそうだ。
町によると、最低制限価格は町の規則によって予定価格を基に設定し、町長が最終的に決裁している。公表されるのは開札後だという。
町は海底送水管更新工事について「適切な手続きを経て執行されてきた」(大浜知司副町長)と強調。県警は町長以外の人物は最低制限価格を知り得たかどうかについて「捜査中」として明言を避けている。

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