新八重山博物館建設を巡り、石垣市は2022年度当初に「準備室」などの専門部署を設置することを見送った。専任職員を配置するかどうかも「調整中」としている。一般会計予算には博物館建設に向けた基本計画策定事業費2486万円を計上。事務局の八重山博物館は25年の着工を目指しているものの、現時点では、最大の課題である財源確保のめどが立っていない。早期建設を求める関係者からは、進ちょくを危ぶむ声も出ている。
市は1998年に「新石垣市立八重山総合博物館(仮称)基本計画」、2015年に「新石垣市立八重山博物館(仮称)基本構想」を策定したが、財源確保が最大のネックになり、事業が進まないまま現在に至っている。
関係者から建設計画の再始動を求める声が高まったことを受け、市は昨年5月~10月に新博物館建設検討有識者会議(石垣博孝会長)を4回開催し、同年11月に提言を受けた。市は過去の基本構想を引き継ぎ、提言の内容を考慮した上で基本計画を策定する。
提言では、市への要望事項として、事業を推進する準備室の早急な設置、財源確保に向けた国などへの早急な要請活動実施が盛り込まれた。
今年2月に開かれた市立博物館協議会でも、大田静男会長が「準備室を一日も早く設置して担当者を置き、基本計画を進めていく体制をつくらないと、元の木阿弥(もくあみ)になりそうな感じがする」と問題提起。市に準備室の早期設置を求める要請書を出すことを決めた。
しかし現時点で、市の具体的な動きは見えない。市議会3月定例会では大濱明彦氏が準備室を設置するか質問したが、市教育委員会の天久朝市教育部長は「関係課と調整している」と答弁するにとどめた。
有識者会議の提言には、市長部局と教育委員会の連携を密にするよう求める文言が入っている。関係者からは、建設事業の事務局を教育委員会が所管する博物館から企画部に移管し、市長部局で政策的に取り組みを進めるべきという意見がある。
だが新年度の人事では、事務局は引き続き博物館が担うことになり、博物館建設事業の専任職員は配置されていない。企画部は「年度途中で動きがある可能性はある」(小切間元樹部長)としている。