竹富町の前泊正人町長は10日、就任後初めて町議会6月定例会で所信を表明した。前町長が汚職で辞職したことを念頭に「町民の声に真摯に耳を傾け、声を聞き対応する。その姿勢の継続が行政に対する竹富町の信用回復につながる」と強調した。具体的な政策に関する言及はなかった。
所信表明は約5分。原稿は準備せず演説した。新型コロナウイルス禍について「困窮する家庭が多く、各種事業者は疲弊している」と指摘。「農業、畜産業、水産業をはじめとする各種産業の基盤強化を図るとともに、商工観光業の回復に向けた施策を強力に推進したい」と決意を示した。
子育て支援、高齢者福祉サービス、障害者支援、男女共同参画推進、いじめ・不登校問題、ヤングケアラー、ジェンダーレス(男女の区別否定)、多様な意見を受け入れられる社会―を課題に挙げ「誰一人取り残すことのない町づくりを全力で進めていく」と述べた。
その上で「先人が築いた素晴らしい竹富町の歴史、伝統芸能を次の世代に引き継いでいく」と強調。町議会に対しては「議員との建設的な議論を重ねながら、元気でわくわくする竹富町をつくっていく。町民、議員、行政職員が一体となって真の共同のまちづくりを進めていきたい」と呼び掛けた。
所信表明に先立ち、就任後、議場で初めて登壇した前泊町長は「『ちむどんどん』している」と、沖縄を舞台に放送中のNHKドラマのタイトルを引き合いに心境を明かした。