市の霊柩車廃止に波紋 葬祭業者から現状維持要望も

市が霊柩車を配置している火葬場「やすらぎの杜いしがき斎場」(資料写真)

 石垣市は開会中の市議会6月定例会に、市が所有する霊柩車の運営を廃止する条例改正案を上程したが、市内の葬祭業者からは、現状維持を求める声が上がっている。市内の葬祭業者が霊柩車を運営した場合、使用料の大幅な値上げが避けられないためだ。14日の市議会一般質問で天久朝市・市民保健部長は「霊柩車を運航する新規事業者の有無を確認し、新たな方策を検討したい」と述べ、今後の対応について直接的な言及は避けた。

 市は火葬場に霊柩車1台を配置しており、火葬場の運営業者が市民には7千円の使用料で葬祭場から遺体を運んでいる。しかし2018年、火葬場運営検討委員会は民間活力を導入するため、霊柩車の運用を民間移行する提言を盛り込んだ答申を市長に提出していた。
 現在の霊柩車は市が14年に中古車として購入しており、8月で車検が切れる。市は18年と20年に開いた葬祭業者との意見交換で、霊柩車の車検切れを機に運用を廃止し、新たな車両は購入しない方針を伝達。21年11月には文書でも同じ方針を通知した。霊柩車廃止に向け、6月議会には使用料、手数料条例の改正案を提案した。
 しかし報道を受けて葬祭業者に波紋が広がったため、9日に改めて3葬祭業者と火葬場運営業者を招いた意見交換会を開催した。
 市によると各葬祭業者からは「昨年11月の通知から社会情勢が変化し、人件費、原油価格などが高騰している」「業者が霊柩車を購入することになっても、車両自体が高騰し、納品にもかなりの時間を要する。維持費を考慮すると、使用料の値上げは避けられない」という趣旨の意見が寄せられた。3業者のうち2社は霊柩車を市が運用する現状の維持を望んだという。
 14日の市議会一般質問では石垣亨氏が霊柩車廃止に関する経緯をただした。大城智一朗環境課長は、県内では民間業者が1件1万5千円の使用料で霊柩車を運用する事例もあると報告。石垣市の現在の使用料は04年に設定されており、いずれにせよ見直しの時期を迎えているとの認識を示した。
 市議会は今後、経済民生委員会で霊柩車廃止に関連する議案を審議するが、議場からは「通らない」などと野次が飛んだ。
 石垣氏は「本島では民間がやっているから、こっちも民間という話は当たらない。命にかかわるものは、行政が損得抜きに最後まで面倒を見てほしい」と市の対応を批判した。

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