石垣島への陸上自衛隊配備計画を巡り、防衛省が駐屯地の正門とは別に緊急車両用のゲート設置を計画し、地域住民が反発していた問題で、設置計画が白紙化されたと見られることが分かった。市が防衛省に問い合わせたところ、設置について「検討していない」と回答があったという。15日の市議会一般質問で翁長致純総務部長は「開南地区の前面のほうにはゲートを設置しないと理解している」と述べた。
一般質問で花谷史郎氏が「集落の中心にゲートがあるという状況になってしまう。住民はかなり心配している」とゲート設置計画の現状をただした。
翁長部長は「市長からゲート位置変更の要望を伝えており、沖縄防衛局に確認したところ『現時点でゲート設置について検討していない』と回答があった」と報告。沖縄防衛局に対しては「市民の生活環境に最大限配慮するよう申し入れていく」と強調した。
ゲート設置は2020年、陸自配備に反対する市民団体の情報公開請求で判明。沖縄防衛局は駐屯地のグラウンドを災害時の救援拠点として活用するため、開南地区に面した県道87号線沿いにゲートを設け、各種車両の通行をスムーズにする予定だった。
地域住民や市民団体は「車両の通行で住民生活に影響が出る」と反発。石垣市も「事前説明がなく、報道を通じて知ることとなり、大変遺憾」と批判し、説明を求める文書を防衛省沖縄防衛局に送付していた。
一方、地域住民や市民団体が駐屯地からの排水で環境汚染が起こる可能性を訴えている問題で、棚原長武農水商工部長は、市と沖縄防衛局がそれぞれ水質検査を行う方針であることを明らかにした。
駐屯地供用開始の前後に調査して数値を比較し、その後も定期的にモニタリングを続ける。調査の場所は排水箇所の下流や近くの井戸を検討している。「防衛局と調整しながら検査内容を確定していきたい」とした。
花谷氏は「(駐屯地は)来年3月に開設予定と発表されているので、事前の水質調査など、開設前にしなければならないことがある。市民、専門家と情報を共有しながら、何を検査項目に入れるべきか慎重に判断して進めてほしい」と要望した。