ペロシ米下院議長の訪台を受け、中国は4日から台湾を取り囲む6つの空・海域で軍事演習を実施すると発表した。
台湾から約110㌔しか離れていない与那国町の糸数健一町長は「迷惑な話」と憤りを示し、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」が起きないよう、日本政府に抑止力の強化を求めた。
町によると、中国軍が軍事演習を行う海域は町内の漁業者が利用している漁場からは離れており、漁業者に直接的な影響はない見込み。
ただ台湾を巡って不測の事態が起きた場合、島が巻き込まれる懸念はぬぐえない。
糸数町長はペロシ氏の訪台について「中国が台湾に対する威嚇を続けてきたから、下院議長も動かざるを得なくなった。(台湾を支援するという)米国の立ち位置がはっきりした」と指摘。
一方で「中国は米国を凌駕する軍事力、経済力をつけるまで(台湾侵攻は)先送りするだろう。いきなり戦争にはならないと思う」との見通しを示した。
今後に関しては「日本政府は(台湾情勢を)座視せず、防衛力を増強し、台湾有事を起こさせないよう抑止力を高めてほしい。日、米、台の連携に向け、地方自治体としてやれることがあれば、微力ではあるが協力する意思はある」と強調した。