翁長雄志知事の死去に伴う知事選はきょう30日投開票される。米軍普天間飛行場の辺野古移設、沖縄振興策、福祉政策などを争点に、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=、前衆院議員の玉城デニー氏(58)が事実上の一騎打ちを繰り広げてきた。玉城氏が翁長雄志知事の方針を受け継ぎ、米軍基地をめぐる県と政府の対立が今後も続くのか、佐喜真氏が県政を奪還し、政府との協調姿勢へ方針転換を図るのかが焦点。選挙戦最終日の29日は、沖縄本島を台風24号が直撃。各陣営とも街頭での訴えは中止し、電話作戦やSNSを使った呼び掛けなどで支持拡大を図った。
辺野古移設をめぐっては、県が辺野古沿岸の埋め立て承認を撤回したことを受け、佐喜真氏は今後の司法判断を見守る方針。玉城氏は撤回を支持し、当選すれば知事権限を駆使して辺野古移設を阻止する考えを示している。
沖縄振興策では、佐喜真氏が政府との太いパイプを強調し、子どもの保育料、医療費、給食費の無料化や、県民所得300万円の実現などを公約。
玉城氏は翁長県政の方針を継承し、発展するアジアの活力を取り入れた経済振興や、補助金に頼らない自立経済の構築を目指すとしている。
佐喜真氏は保守中道勢力、玉城氏は革新勢力を支持基盤としており「オール沖縄」旋風で揺れた2014年の前回知事選とは勢力図が様変わりした。
安倍政権は佐喜真氏を全面支援。菅義偉官房長官、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長をはじめとする政権や党幹部が続々と来県し、街頭などで支持を呼び掛けた。
玉城氏は立憲民主党や共産党など国政野党の支援を受けているが、政党色は極力薄め、翁長知事の遺族らと遊説。翁長氏の「弔い合戦」ムードを全面的に打ち出す戦略を展開した。
選挙戦は、知名度や個人的人気で勝る玉城氏に対し、組織力で優位に立つ佐喜真氏が挑む構図。無党派層への浸透が勝敗のカギを握ると見られる。
元那覇市議渡口初美氏(83)、元会社員兼島俊氏(40)も立候補している。
台風接近に伴い、竹富町や、うるま市の一部などで投票が27日や28日に繰り上げられたほか、29日は那覇市などが期日前投票所を閉鎖した。30日の投票は県内322カ所で一部を除き、午前7時から午後8時まで行われる。最終的な投票率は、悪天候などが影響して前回の64.13%を下回るとの見方が強い。
県選挙管理委員会によると、有権者数は115万8602人(男56万4806人、女59万3796人、うるま市、石垣市、竹富町、与那国町は20日現在、その他の市町村は12日現在)。