県は、県立八重山病院職員宿舎の整備に向けた基本構想を年度内に策定する方針を固めた。12日に基本構想策定業務の一般競争入札公告を行い、業務仕様書で建設予定地として「旧八重山病院跡地を想定」と明記した。石垣市は同病院跡地への医療機関誘致を希望しており、跡地の活用方法を巡って地元との調整が必要になりそうだ。県病院事業局の担当者は「建設予定地は決定していない」としている。
県病院事業局によると、近年、石垣市の民間賃貸住宅は空室が少なく、病院職員が本島から転入する場合に住宅の確保が困難になっている。
現在、八重山病院職員351人のうち、県の公営住宅に入居しているのは医師住宅3棟に15戸、看護師住宅1棟に40戸、職員・研修医住宅とその他の県職員住宅に16戸の計71戸だという。
八重山病院職員宿舎の整備に向けた基本構想では、現状の調査・分析、事業課題の抽出などを行う。県病院事業局の担当者は「職員宿舎の規模や職員宿舎の必要戸数などを検討したい」と説明。
業務仕様書では予定地として旧八重山病院跡地を想定しているものの、基本構想策定後に地元関係機関などの意見も聞き、予定地を最終決定する考えを示した。職員宿舎の整備年度なども未定とした。
基本構想策定業務は26日に一般競争入札を行って事業者を決める。来年3月24日までに構想を策定するスケジュールになっている。
旧八重山病院跡地は大川地区にあり、敷地面積2万4319平方㍍。医療法人上善会が運営するかりゆし病院(石垣市新川)が移転を希望しており、石垣市議会も県に対し、かりゆし病院の移転新築を求める意見書を可決している。
開会中の市議会12月定例会では、小切間元樹企画部長が旧八重山病院跡地について「県職員の福利厚生を主として検討すべきではなく、市民、八重山郡民のため優先的に活用されるべき」と職員住宅の整備に難色を示した。市は今後、県に対し、八重山市町会などを通じ、公共性の高い医療機関の開設を求める考え。