防衛省は2023年度予算案で、陸上自衛隊与那国駐屯地に将来、地対空誘導弾部隊を配備するため必要な土地18万平方㍍の取得費を盛り込んだ。与那国島には現在、沿岸監視隊が配備されているが、実戦部隊の配備は初めてとなる。23年度には電磁波に関する領域を担当する電子戦部隊を新設し、与那国駐屯地の定員は今年度末の約170人から約210人に増員となる。
与那国島は台湾との距離が約110㌔と近く、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」を見据え、島の防衛体制が強化されることになる。
地対空誘導弾部隊は、敵の戦闘機などよる侵攻をミサイルで阻止する部隊。防衛省は用地取得費について「用地交渉に支障が出る恐れがある」として公表していない。
電子戦部隊の新編に伴い、隊員が勤務・居住するための隊庁舎整備に約38億円を計上した。将来的には地対空誘導弾部隊の配備に必要な隊庁舎、火薬庫、覆道射場、廠舎(しょうしゃ)などの施設整備も予定する。
電子戦部隊は相浦駐屯地(長崎県)の第101電子戦隊の一部約20人、健軍駐屯地(熊本県)の第301電子戦中隊の一部約30人をそれぞれ移駐させて編成する予定。
一方、来春開設予定の石垣島駐屯地(仮称)整備に向け、倉庫、車両整備場などの設置に約53億円を計上した。
駐屯地の輸送調整機能を強化するため、中央輸送隊の一部数人を那覇駐屯地から移駐する予定。石垣駐屯地の定員は約570人となる。