石垣市と株式会社ウェルソック沖縄(比嘉明男代表)は20日午前、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた包括連携協定を提携した。同社の屋外型広域Wi―Fi(ワイファイ)整備事業を活用し、市内で高速インターネット環境の構築を推進。産業のDX化、GIGAスクール構想の促進、防災、災害対策への利活用を模索する。同社が県内の自治体と協定を結ぶのは初めて。
ウェルソック沖縄は、日本初の広域Wi―Fi網の設置を目指す株式会社ウェルソックの関連会社。
石垣市は今年度予算に、市内数カ所で同社の設備を利用した実証実験を行う費用を盛り込んだ。来年度以降は活用可能な補助メニューを探して整備を進めたい考え。
同社は50~60センチの基地局数基を市内の防災無線柱や庁舎、公共施設に設置。今後は徐々にWi―Fiが使える範囲を広げ、「市内全域を網羅するWi―Fi通信網を整備する予定」(市の担当者)という。
児童に1人1台の端末を配布するGIGAスクール構想では、児童は自宅にデジタル端末を持って帰る。Wi―Fi網が拡大すれば、自宅にネット環境がない家庭の児童でも機器を利用できるようになる。
Wi―Fi網は農業にも活用可能で、農作物の発育や牛舎の管理も遠隔地からできるようになる。
県内では、既に宮古島市が同社と2019年から実証実験を開始し、民間施設など44カ所に基地局を設置。防犯カメラなどに活用している。
協定締結式で中山義隆市長は「産業をDX化し、双方で協力して地域活性化を進める」と期待。国頭村観光協会・やんばる3村観光協議会の会長も務める比嘉代表は「地元国頭の集落をモデル地区に活用している。この地区では、無料でWi―Fiが使える」と説明した。