初当選以来、海外に滞在し、国会に一度も登院していないガーシー参院議員が除名される公算になった。国会のルールに従わない議員に多額の歳費が支払われ続ける現状はおかしい。今回ばかりは国会の自浄作用が発揮されるということだろう◆ユーチューブで芸能人のスキャンダルを暴露し、短期間で知名度を上げたガーシー氏。そのままの勢いで28万票を獲得し、国会議員に当選してしまった。映画のようなシンデレラストーリーだが、現実問題として「ノリ」で政治家になってしった人物に内憂外患の日本を任せられるのか◆とはいえ「知名度だけ」で当選した候補者は過去に何人もいた。かつてはタレントや報道番組のコメンテーターが政治家の登竜門だったが、今後はSNSのインフルエンサーと呼ばれる人物も続々政界に進出するだろう。第2、第3の「ガーシー」が出現することは避けられない流れだ◆小欄では、国難の時代、民衆の要請に応じるように、米国ではオバマ氏やトランプ氏のような突出したリーダーが生まれたが、日本で生まれたのはガーシー氏だった、と以前に書いた◆この流れは日本の民主主義の新たな展開なのか、それとも行き詰まりなのか。日本が国際社会でますます厳しい時代に突入する中、後者でないことを祈る。