建物の高さ 制限緩和検討 川平の一部、ホテル建設打診で 石垣市

景勝地・川平湾=2022年9月20日(資料写真)

 石垣市は、県内屈指の名勝として景観地区に指定されている川平地区の一部について、現在7㍍とされている建物の高さ制限を緩和する方向で検討に入った。13日、市議会一般質問で中山義隆市長が明らかにした。地区内に土地を所有している事業者が市に対し、ホテル建設のため高さ制限を緩和できないか打診しており、市は応じる方針。一方、川平公民館は制限緩和に反対しており、地域住民の理解を得られるかが今後の焦点になりそうだ。

 中山市長はホテル建設計画について「(現行の高さ規制の)7㍍では、地域に貢献できる高付加価値のホテル建設は難しいと緩和の打診を受けている」と認めた。
 その上で「川平は世界的に有名な場所なので、国際的に有名なブランドのホテルを呼び込めるという話だった。アジアを中心とした富裕層を呼び込む中で医療ツーリズムも導入する。医師、看護師などの医療スタッフが常駐するので、川平で夜間診療を見る体制も取れると聞いた」と説明した。
 中山市長によると、事業者の所有地のうち「2万6千坪」は農振除外が完了している。中山市長は「ホテル建設が厳しい時にコテージや分譲型の別荘のようなものを造ると、100坪ずつでも260戸の住宅ができる」と指摘。「新たに住宅街ができ、外国人が購入して毎日出入りすると、川平の景観は守れるが、コミュニティが守られるか非常に懸念がある」と述べた。
 事業者が打診している高さ規制の緩和に関し「川平地域の皆さんと綿密に打ち合わせしながら進めていきたい」と前向きな姿勢を示した。
 知念永一郎建設部長は、新型コロナウイルスの影響で市の観光産業が低迷したことに言及。「市を代表するリゾート地である川平地域でも観光産業を牽引(けんいん)し、市の経済の復興を担ってほしい」とホテル建設に期待した。高さ制限の緩和に伴い都市計画を見直す際は「しっかりと住民説明会を実施する」と理解を求めた。
 ただ、建物の高さ制限緩和の動きを受け、川平公民館の野底吉彦館長ら役員は2月24日、市役所に中山市長を訪れ、制限を堅持するよう要請している。
 この件を取り上げた長浜信夫氏は「川平地区は承服していない。地域の意向が大事なので今後、じっくり検討していくようにお願いしたい」と中山市長に要望した。

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