2022年度石垣市カンムリワシの交通事故防止に関する連絡会議が24日、石垣市役所で開催された。多発するカンムリワシの交通事故について、発生を防止するため関係機関が集まり情報を共有した。今回が初開催。
カンムリワシの交通事故は昨年1月から3月に多発。環境省は非常事態宣言を発出した。近年は重傷を負う事例が増え、救護されても野生復帰が困難な個体が増える懸念もある。現在、治療とリハビリを行う専用施設のゲージはひっ迫しており、厳しい状態が続いている。
2003年以降、カンムリワシの保護は自治体や関連団体が集まった会議で議論されてきた。また、環境省や民間ボランティアの調査で生態の研究は進んだ。車と接触し死亡する事例がほとんどであるため、市は教育委員会を事務局とした連絡会議を設置した。
連絡会議には、環境省や県の出先機関や市、警察、動物病院、野生動物救護施設が参加。10月頃に年1回の会議を開催。情報共有などを行う。次年度以降は、レンタカー業界などの参加も呼びかける。
昨年1年間に保護か死骸が確認された事例は13件あり、このうち10件は交通事故によるものだった。このうち生存できた個体は5体のみで、4体は放鳥され1体はリハビリ中。
カンムリワシの交通事故は冬場に集中しており、昨年の13件中11件は1月から3月に確認された。
カンムリワシは、交通量が多い石垣島内の幹線道路沿いでカエルなどの動物を捕食するため、市民や観光客が運転する車と接触、事故死する例が増えている。
たまよせ動物病院の土城勝彦獣医師は現状と課題を報告。「近年、カンムリワシの交通事故は多発している。重症度が高い事故が多く、死亡する事例ばかりだ」と危惧。生存しても野生復帰が困難な個体が増え「絶滅するリスクは極めて高い」と警鐘を鳴らした。