石垣島生コンクリート協同組合(6社、大濱達也理事長)は4月1日から、生コンの単価を1立米当たり3千円値上げした。主要な原材料であるセメントの価格上昇などが要因。生コン単価の値上げは昨年6月1日に続き2回目で、値上げ幅は1年足らずで6千円に達した。建築費の高騰に拍車が掛かるのは不可避だが、大濵理事長は「組合員は赤字の状況で、値上げはやむを得ない。苦渋の決断」と理解を求めた。
同組合によると、沖縄本島のセメントメーカー3社は1月、セメント価格をトン当たり3千円増に改定。生コンを製造する際に使用する混和剤や骨材も値上がりしており、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の上昇で燃料費などの輸送コストも膨らんでいる。
同組合はセメント価格の改定後も3カ月間は生コン価格を据え置いたが、企業努力が限界に達したとしている。県内では石垣島のほか、宮古島、沖縄本島中南部、同北部にそれぞれ生コン業者の組合があるが、いずれも4月からの値上げを予定しているという。
同組合によると、八重山の生コン単価は輸送コストなどが加算されるため沖縄本島に比べ5~6千円高い。生コンの値上げに伴う経済的負担は離島住民に一層重くのしかかる構図だ。
同組合は昨年6月1日、生コン単価を3千円値上げしたばかり。当時は2013年の組合設立以来、初めての値上げだった。同組合によると一般的なRC構造の民間住宅の場合、生コン価格が占める割合は総工費の15~20%だという。
大浜理事長は、今後の建築価格が高騰する可能性について「総工費に占める生コンの価格が特別に大きいわけではない。生コンの価格が上がると『大変だ』と言われるが、鉄骨や材木など他の建築資材も全部上がっている」と話した。
同組合は今年2月、取り引き先に値上げを通知。これを受け、今月中旬には同組合と県建設業協会八重山支部の業者の意見交換会も開かれた。
出席者によると、建設業者側からは「値上げ幅が大き過ぎないか」「自衛隊配備などで生コンの需要が高まっているのに、なぜこのタイミングなのか」などの声が上がったという。
同支部の米盛博明支部長は「値上げは基本的には理解している」とした上で「八重山の住宅は台風対策のため、構造的に生コンの使用量が多く、市民への経済的影響は大きい」と指摘。
その上で「他の建設資材も高騰しているが、生コンは他の建設資材と違って買い置きできないので、値上げの影響を直接的に受ける。公共工事の場合、積算価格に生コン価格の値上げが反映されるまで時間がかかるので、その間は建設業者がコスト増を負担せざるを得ない」と懸念した。