【金波銀波】陸上自衛隊のヘリが…

 陸上自衛隊のヘリが宮古島周辺海域で消息を絶ち、搭乗していた10人のうち現在までに5人の死亡が確認された。痛ましい結果に言葉を失うが、残る5人の早期発見を祈りたい◆搭乗者の1人、陸自第8師団の坂本雄一師団長は3月30日付で就任し、早々に宮古島を視察に訪れた。島の地形を確認するためだったという。台湾有事の危険性が叫ばれる中、台湾に最も近い八重山や宮古は、今や日本のホットスポットだ。事故がなければ、坂本師団長は次に石垣島や与那国島を訪れていただろう◆国境の危機を真剣に受け止め、強い責任感を持って迅速に行動していたということがうかがえる。それが最悪の結果につながったことを考えると、八重山住民としていたたまれない思いになる◆報道によると搭乗者には他の第8師団幹部や、宮古島駐屯地の指揮官も含まれていたという。有事ともなれば第一線に立つことが予想される幹部たちであり、これだけの人材が一気に失われれば、日本の安全保障に大きな痛手だ◆今は行方不明の隊員の発見が最優先だ。だが台湾情勢が緊張の度合いを増す大事な時期に、なぜこのような事故が起きたのか、日本の危機管理体制は大丈夫なのか、一般国民の疑問は尽きない。早期の検証と再発防止策の確立が望まれる。

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