竹富町小浜島の小浜島生コンクリート工場が老朽化により3月末で閉鎖されたため、島内での生コン供給が停止し、波紋が広がっている。島内で行われている公共工事が止まるなどの影響も出始めた。生コンの供給を巡り、前泊正人竹富町長、屋宜靖商工会長、長濵康小浜公民館長は1日、石垣島生コンクリート協同組合を訪れ、協力を要請しているが、有効な打開策は浮上しておらず、住民の不安が高まっている。
小浜島では丸尾建設㈱(丸尾剛代表取締役)が生コン工場を運営していたが、工場が築40年で老朽化し、維持費がかさむため、2020年7月に撤退を表明。公民館の要請などで撤退時期を延長していたが、工場は今年3月末で閉鎖された。
生コンは製造直後に使用する必要があり、島外から輸送して使用するのは困難。これまでにコンクリートが固まるのを遅らせる遅延剤を投与して西表大原から運ぶ案、石垣島から運ぶ案、大原から細崎に直接運ぶ案なども検討された。しかし、いずれも時間がかかり品質保持が難しく、島外からの輸送は現実性が薄いという。
全国的には車両型のモバイルコンクリートミキサ車やバージの上にプラントを乗せて航行するプラント船もあるが、予算面などで課題がある。
町は今年度予算で小浜細崎地区町営住宅建設事業として2億5067万円を計上し、4月末に造成工事が完了しているが、生コン供給のめどが立たないため、次の工程に進めない状況となっている。町によると、工期に間に合わないのは確実な状況という。
関係者は「島内で生コンを生成できなければ厳しい」と指摘する。ただ生コンの生産設備一式(プラント)を建設するには2億円以上かかると言われており、維持費も高額になる。今後民間のみで建設・運用することは厳しいとの見方もある。
前泊町長らから石垣島生コンクリート共同組合への要請は非公開で行われ、対応については大型連休明けに同組合の理事会で協議される。町は要請書で「今年度予定している町営住宅整備工事に伴う生コンの供給調達だけでなく、今後の整備計画にも影響を及ぼすことが予想され、大変危ぐしている」と懸念を表明した。
小浜島の島民男性は「現時点で特段何か影響があるわけではないが、これから工事ができないなど、何かを始める時に『できない』ということがあると困る」と危機感を募らせた。
細崎地区町営住宅では必要となる生コンは350立米ほど必要と積算されている。