防衛省・自衛隊は2日、石垣市に一時配備している地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を南ぬ浜町に展開。与那国町でも駐屯地内にPAC3の発射機を立ち上げた。北朝鮮からの「軍事偵察衛星」の発射があった5月31日は台風2号の影響で、石垣は埋め立て地へ展開できず、与那国は発射機が畳まれたままだった。
午後1時過ぎ、発射機やレーダー装置を運搬する車両が陸上自衛隊の石垣駐屯地を出発。約50分で南ぬ浜町クルーズ岸壁北側の敷地に到着した。陸自隊員が警備する中、空自隊員が関連機材を連結。システムが正常に機能するか確認した。
石垣駐屯地は午前中に陸自隊員を警備や広報担当で展開場所に派遣。隊員たちは事前に有刺鉄線や待機所などを設営した。同駐屯地の八重山警備隊の隊員が最新小銃などを持ち、警戒した。
防衛省は北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを先島地方の上空に発射すると判断し、PAC3を八重山地域に移動させた。
浜田靖一防衛相は4月22日、自衛隊に破壊措置準備命令を出し、翌23日に関連車両の先島搬入を開始。同27日に石垣島への搬入を完了していた。
石垣市の中山義隆市長は「予定地に展開してもらったので一安心だ」とコメントした。与那国町の糸数健一町長は同日の会議で自衛隊の対応について「畳んでいたと聞き、びっくりしている。個人的には甚だ遺憾なことだ」と述べた上、「台風の中、発射され着弾していたらどうするのか。大きな課題がある国には真剣に考えていただきたい」訴えた。
自衛隊は内々で市に対し南ぬ浜町の使用を打診。市と県は5月30日、同日から今月11日までの港湾使用許可を出していた。
北朝鮮は「人工衛星」の発射は失敗したと発表。政府高官は近日中に再度発射すると発表している。防衛省は発射指定期間の11日までPAC3を南ぬ浜町に展開すると見られる。