日本青年会議所沖縄地区協議会(伊藤貴庸会長)は11日、2023年度沖縄地区大会を石垣市民会館で開催した。「国防セミナー」では元陸上自衛隊陸将補の吉富望日大教授が登壇し「中国は台湾侵攻前に日本の南西地域を攻撃する可能性があり、意図的に住民を狙う。基地が近くにあるから狙われるという話ではない」と指摘した。
吉富氏は、中国の習近平国家主席が自身の3期目が終わる2027年までに台湾に侵攻する可能性を指摘。ウクライナ戦争を例に「常任理事国が戦争を始めれば、国連は無力」と述べ、中国の台湾侵攻に国連は対応不能との見方を示した。
台湾侵攻に合わせ、中国は日本各地も攻撃すると予想。その場合、北朝鮮とロシアも日本攻撃に加わる。ロシアがウクライナの避難施設を攻撃した例を参考に、民間施設も標的となると警告した。
中国は八重山侵攻に踏み切ると分析。「島内で地上戦が起こる。中国の戦い方を見ると八重山住民の島外避難はかなり難しい」と指摘。中国は空港を攻撃すると見て、住民は堅固な一般住宅に分散して避難すべきとした。
台湾からの避難民も人道的に扱う必要があり、その様子を正しく世界に発信することで国際的な支援を受けやすくすべきと提唱。攻撃する側は「日本が非人道的な対応をしているとフェイクニュース拡散を試みる。今は情報戦の時代だ」と指摘した。
台湾有事を防ぐために「国民保護や避難民の受け入れも含めて抑止力となり、中国の台湾侵攻を防ぐことができる。国の関与拡大が急務で八重山地域をサポートすべきだが、やっていないのが大問題」と訴えた。
JCは23年ぶりに地区大会を八重山で開催。午前に国防セミナー、午後に離島サミットが行われた。