ジャーナリストの櫻井よしこ氏が17日、「島を守る力をみんなで育てよう」をテーマに、石垣市内のホテルで講演した。中国が世界の覇権を目指し、軍拡を続けている現状に警鐘を鳴らし「中国に『軍事的に脅してやれば尖閣なんかすぐ取れる、石垣もすぐ落ちる』と思わせてはいけない。石垣の自衛隊を強くして『石垣、尖閣を守ることが日本を守る。台湾を守る。共通の価値観を持つ国々の人たちのために役に立つ』という思いで暮らしたい」と呼び掛けた。
来島後、さっそく陸上自衛隊の石垣駐屯地を訪れたことを紹介。「立派な駐屯地ができ、全国から優秀な自衛隊員が選ばれてここに駐屯している。石垣島はとても重要なところ。自衛隊を受け入れ、いい関係を作っている石垣の皆さんに心からお礼を言いたい」と、駐屯地開設に協力した市や市民の対応を評価した。
日米や欧州などの自由主義陣営と、軍事力で現状変更を図る中国、ロシアなどの国々で「世界は大きく二つに分かれている」と指摘。「中ロの関係はどんどん緊密になりつつある。歴史上初めて米国は二つの核大国に直面する。中国は米国を凌駕する世界最大の軍事大国、核大国になろうとするだろう。米国とともに、自由主義陣営をどう守っていくのか考えないといけない」と提起した。
中国が台湾侵攻の構えを見せていることに対し「台湾はもともと中国のものというが、中華人民共和国が台湾を領有したことは一度もない。歴史的な根拠はない」と断じた。
中国が「人類運命共同体」という言葉を多用していることについては「中国共産党の堅い殻の中に、地球上のすべての民族が入る。こういったことを目指しているのが中国だ。中国に絶対そのような動きをさせないための抑止力を持たないといけない」と強調。
その上で「力のある国が力のない国を脅そうとしている時、力のない国が『テーブルで話して解決しましょう』といってもだめだ。日本民族は心優しく公正な民族だが、いざというときには雄々しく立ち上がる勇敢な民族であることも証明したい」と述べ、覚悟を決めて中国と対峙するよう求めた。
講演会は八重山日報社が主催し、八重山防衛協会と八重山「正論」友の会が後援した。