台湾有事をにらんだ国民保護の実情を把握するため、八重山3市町を訪問していた松野博一官房長官は24日、竹富町役場で記者会見した。3市町から受けたシェルター施設整備への支援要請に関し「人口や避難輸送に必要な手段や時間なども考慮し(施設の)規模や堅牢度などを議論していく。これから内閣官房でしっかり検討していきたい」と述べた。
与那国島や石垣島への自衛隊配備については「南西諸島に自衛隊が存在することは『力による一方的な現状変更を許容しない』とのわが国の意思を示し、抑止力を高めることで、わが国への武力攻撃の可能性を低下させる」と意義を強調した。
離島からの有事の際の避難計画を巡っては、輸送力確保や船舶利用が困難な悪天候時の対応を検討課題に挙げた。「沖縄は輸送手段で制約がある。国民保護基本方針に従い、国が特段に配慮することになっており、今年度も国や県、先島市町が連携し訓練を行う。離島からの住民避難の実効性の向上に努めたい」と課題解決に向けた意欲を示した。
自衛隊が8月末までの期限付きで南ぬ浜町人工ビーチで展開している地対空誘導弾パトリオット(PAC3)については「今回の訪問では石垣市から話はなかった」とした上で「各種情報を踏まえた総合的な分析評価に基づき、適時、適切な体制を構築していく。地元自治体と調整の上、必要な体制を維持する」と説明。展開の期間などは明言しなかった。
松野氏は22日から3日間の日程で八重山の3市町を訪問。3市町長と面談し、要請書を受け取った。石垣港や祖納港も視察。23日に与那国駐屯地、24日午前に石垣駐屯地をそれぞれ訪問した。