八重山に伝わる最大の伝統行事、四カ字豊年祭のうち、登野城と石垣、大川のオンプールが５日、市内の御嶽で執り行われた。新川字会は３日午後に長崎御嶽（ナースクオン）でオンプールを実施し、５日は午後から新川小学校で産業共進会と祝賀会を行った。四カ字のムラプールは６日午後３時半から真乙姥嶽（マイツバオン）で行われる。

　今年度の豊年祭は、新型コロナウイルスが５類感染症に移行されたため、４年ぶりに通常開催された。
　参加した地域住民は、各字会のオンプールで今年の豊作に感謝。来夏世の五穀豊穣（ほうじょう）や無病息災を祈願した。優良農家は表彰された。今年度の四カ字豊年祭は、３日にオンプール、４日にムラプールを開催する予定だったが、台風６号が八重山地方に接近したため、新川のオンプール以外は延期されていた。双葉公民館はオンプールを中止した。

　■登野城字会
　登野城字会（平田勝男会長）のオンプールは天川御嶽で午後２時から始まった。来賓や観光客が多数見守る中、盛大に開催された。
　最初に旗頭「立浪」と「雉・牡丹」が御嶽に堂々と入場し神前に奉納された。続いて、平田会長が祈願文を奉読。「作物の繁盛に感謝すると共に、字民の無病息災を願う。１日も早く、新型コロナウイルス感染症が石垣から完全に終息し日常生活が戻るよう神のご加護を賜りたい」と祈った。
　続いて、神事「ミシャグパーシィ」が行われ、関係者が神酒を酌み交わした。給仕の男性４人は神歌で「来夏世はきっと稔る。稔りの年を祈る」と歌い、神酒を注いだ。
　字民の児童・生徒によるイリク太鼓の手奉納や婦人会による巻き踊り奉納、老人会巻き踊り会による夜雨節・よーほー節などの伝統芸能も行われた。

　■大川字会
　大川字会（玻名城安教会長）は、大石垣御嶽で豊年祭を４年ぶりに通常規模で執り行った。
　棒術や獅子舞をはじめ、「松竹梅」「ズルカキ」など字会に継承される旗頭の奉納といった恒例行事が復活。御嶽前にはあふれんばかりの地域住民や観光客が集まり、カメラを手に奉納を見守った。
　玻名城会長は「台風だった天候が嘘のように晴れて、盛大に豊年祭を執り行えるのをうれしく思う。作物も実り多い年になった。来夏世（くなつゆ）も豊作であるよう祈る」とあいさつした。
　また、今回の旗頭奉納では、地元・八重山農林高の上原陸さん（１年）が持ち手を務めた。同校の女子生徒が持ち手に任命されるのは、１０年ぶりだという。
　上原さんは「先輩の持ち手から様々なことを教えてもらい、無事にできたことを感謝している。私が農高、そして大川の伝統を繋いでいきたい」と話した。

　■石垣字会
　石垣字会（玻名城哲夫会長）のオンプールは５日午前１０時から、宮鳥御嶽で、「五風十雨」「押風黄金」「若鷲飛翔」と書かれた３旗の旗頭が奉納され、イビ間の前で今年の豊作を祝いスタートした。収穫した米で作られた神酒を酌み交わす「ミシャグパーシー（エンニガイ）」の儀式が執り行われ、役員らが古謡を歌い来夏世の豊作を願った。
　午後２時半からは、太鼓隊の太鼓奉納から始まり、緑ヶ丘保育園の園児らは旗頭、巻き踊りなどを奉納。ツナヌミン奉納では息のあった演舞を披露し、会場からは大きな拍手と声援が送られた。石垣小学校は稲穂を奉納し、行進曲ダンスを披露した。石垣中学校郷土芸能部は「やまばれーゆんた」や「いにしり節」などを奉納し、全国大会出場の実力を披露。棒術奉納ではキレのある動きを見せ会場を沸かせた。獅子舞奉納では、２頭の獅子舞が子どもたちの頭を噛み、無病息災を願った。
　玻名城会長は「４年ぶりの通常開催で無事執り行えた。若者による旗頭から始まり活気に満ち溢れた奉納で、来夏世の豊作、石垣字民の健康、安全祈願が約束されたと思います」とあいさつした。

　■新川字会
　祝賀会で伝統芸能披露　優良農家の表彰も
　新川字会（唐眞盛充会長）は３日に長崎御嶽でオンプールを実施したため、５日は新川小学校で産業共進会と祝賀会を行った。優良農家の表彰後、婦人会や幼稚園、こども園、同小などが参加し伝統芸能を披露した。
　唐眞会長は「伝統芸能の演技をご覧いただき、楽しんでほしい」とあいさつ。
　産業共進会で優良農家として表彰された漢那憲鉄さんは「地元に戻ってきて３年が経った。今回表彰されて（実家を継いで）頑張って良かったと思う。地域社会に貢献して農業にまい進したい」と力を込めた。
　祝賀会では、字会役員婦人の宮良るみ子さん、入嵩西京子さんの鷲の鳥節で座開き。余興で新川婦人会がうりずんの歌、みやまえ幼稚園が桃里節、あらかわこども園がイニシリ節、新川小学校が繁昌節を披露した。