八重山の夏を彩る風物詩、石垣島四カ字（登野城、石垣、大川、新川）の豊年祭ムラプールが６日午後、石垣市内の真乙姥嶽で開かれた。各字民は今年の豊年に感謝し、来夏世の五穀豊穣（ほうじょう）や字の繁栄を祈願した。新型コロナウイルスの５類感染症移行により、４年ぶりの通常開催となり、大勢の市民や観光客が詰め掛けた。
御嶽前を通る４号線は通行止めに。各字や団体の旗頭が御嶽前に集まり、ムラプールは午後３時半からスタートした。
主催した新川字会の唐眞盛充会長は「台風６号の影響で開催は延期したが、多数の市民に参加していただいた」とあいさつ。中山義隆市長は「大きな台風被害はなく、世果報（ゆがふ）雨がもたらされ、干ばつが解消された。安堵（あんど）している。五穀豊穣を祈念する」と祝辞を述べた。
旗頭・巻踊り奉納では、最初に新川字会が登場。「田」、「矢」の２つの旗頭を嶽前で披露した。続いて、記旗（シルシバタ）を持った稚児を先頭に新川字民が順番に真乙姥嶽の中に入り、今年の初穂や伝統芸能を奉納した。
双葉公民館や大川・石垣・登野城３字会に続き、ＪＡおきなわ、石垣島製糖、石垣中学校、八重山農林高校、東京八重山会も順番に旗頭と巻踊りを奉納した。
東から登場した五穀豊穣の神が西からやって来た巫女に種子を授ける「五穀の種子授けの儀」があった。各字会の女性だけが参加できる「アヒャー綱」に移った。
神司から「ブル棒」を授けられた「ブルピトゥ（棒貫人）」の仲唐みき子さん（62）＝新川＝が登場。聴衆が声援を送る中、「ブル棒」を準備された雌雄の大綱に差し込んだ。女性たちは喜びを舞いで表現した。
終了後、仲唐さんは「ブルピトゥ役に決まってから緊張が続いた。４年ぶりの開催だったが、皆さんの協力のおかげで、無事にやりきることができた」と感謝した。
「アヒャー綱」終了後、各字民や観光客が一緒になって大綱を西に約２００㍍移動させた。２人の武者が勇壮に戦うツナヌミンの後、市民と観光客は東西に分かれ大綱引き。東が勝利した。